テレビに耳ありラジオに目あり

テレビ/ラジオを自由気ままに楽しむためのレビュー・感想おもちゃ箱、あるいは思考遊戯場

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お笑い番組評

『アメトーーク!』週2回化にまつわる期待と不安

10月から、『アメトーーク!』が週2回放送になるらしい。 http://www.oricon.co.jp/news/2077897/full/ 本人は違う曲を演奏しているつもりでも、聴き手からすると「この人、なんか最近似たような曲ばかりやってるな」と感じることが、音楽ではよくある。それ…

『爆笑問題の検索ちゃん 芸人ちゃんネタ祭り2015』~ネタ芸人のモチベーションを刺激する太田光という「笑いの試金石」~

年末年始といえば、ネタ番組の大量出現にお笑い好きとしてワクワクしつつも、同じネタを繰り返し観ることになって食傷気味になるのは例年の通り。その中で本当に存在価値があるのは、単にそれぞれの「鉄板ネタ」を並べただけの番組ではなく、やはり番組とし…

『笑いのゴッドファーザー オレたちに頭を下げさせろ』からの『三四郎のオールナイトニッポン0』~ダメ出しの業火が裏面から炙りだす笑いの多様性~

果たしてお笑い芸人に、今さら「型どおりの技術」を求めるべきなのかどうか、「上手さ」と「笑い」の質と量は比例するのかどうか。そういった問題に関して、お笑いコンテストの結果を見るたびに考えさせられる。もちろん重要なのは「面白いかどうか」のほう…

『全力!脱力タイムズ』~「不適材不適所」の極みがもたらす和製モンティ・パイソン的虚構世界~

当然だが物事を制作するにおいてもっとも肝要なのは、何事においても「適材適所」を心がけるということである。餅は餅屋、蛇の道は蛇。たとえば事実の報道を旨とするニュース番組の司会に、嘘つきのお笑い芸人を置くなんてのはもってのほかである。 一方、笑…

『ワイドナショー(ワイドナB面)』2015/6/14放送回~先生は、見つけられるのを待っている~

話を聞く気のない人には、何を言っても通じない。自分のちっぽけなプライドを守ることだけに汲々として他人の意見に耳を塞いでいる人間には、どんなに有益な情報をどんなに親切に伝えようと、すべてがはじかれてしまう。 それは「人」の問題ではなく、あるい…

『ヨルタモリ』2015/5/10放送回~夢も明日も向上心もないグラサン越しのユートピア~

人の話というのは不思議なもので、相性のいい触媒を得ると面倒な手続きなしに一気に深いところまで行ける。文章とは異なる会話ならではの面白さとは、まさにそういった「打てば響く」関係がもたらしてくれるものだ。この日の『ヨルタモリ』にゲストとして訪…

『ワイドナショー』2014/8/31放送回~松本人志の発言から考える「テレビ化するラジオ、ラジオ化するテレビ」~

「隣の芝生は青く見える」とは言うものの、果たしてテレビとラジオは、本当に隣人なのだろうか? その両者にはどれほどの親和性があって、どこまで交換可能なのだろうか? もし隣人であったとしても、ハリウッドスターの豪邸と浪人生アパートの一室くらいサ…

『笑っていいとも!グランドフィナーレ 感謝の超特大号』~模倣困難なタモリイズムの継承~

長寿番組の32年間を締めくくる大団円であるというのに、実のところ「ダウンタウンと爆笑問題の邂逅」という裏テーマの方にばかり気を取られていたのだが、結果としてもっとも印象に残ったのはSMAP中居正広のスピーチだった。だがそうした思いがけぬ山場が何…

『笑っていいとも!』グランドフィナーレに期待する希望的あるいは夢想的シナリオ

3/31(月)の『笑っていいとも!』最終回のテレフォンショッキングのゲストが、ビートたけしであることが発表された。各メディアの様々な憶測に比べると、正直これは想定内の着地点と言わざるを得ない。近年は『27時間テレビ』における絡みも毎年のようにあ…

『週刊!ライブ至上主義』東京ダイナマイト単独ライブ『COMEDIAN GOD』~「わからない」場所から手探りでつかみ出す不確定な笑い~

東京ダイナマイトは凄腕の気まぐれシェフである。「いいかげん」と「好い加減」が同じ意味になり得るということを、彼らのネタはいつも如実に証明する。 お笑いに限らず表現というものは、いつも「自由度」と「完成度」の間で揺れている。そもそも「どちらを…

「ネタ芸人」がひな壇でブレイクするための思考~バナナマンと山里亮太の発言をフックに~

ネタで認められた芸人がバラエティ番組のひな壇で活躍できないという状況が、さらに深刻化している。 それはもちろん、自らが設定した世界観の中で勝負できるネタと、他人の作り上げた世界観の中で勝負しなければならないバラエティという枠組みの違いによる…

『バカリズム御一考様』2013/4/2放送回~単調さをどう乗り越えるのかを観たい~

バカリズム冠番組のレギュラー放送は、事前特番の流れそのままにこぢんまりとしたスタート。どうやら大喜利好きにとっては、意外性というよりは安心感を得るために観る番組。 今回の企画は「ますとり」という、字数制限のある大喜利の一本のみ。お題も芸人の…

『バカリズム御一考様』2013/3/22放送回~こぢんまり期待できる大喜利三昧~

いよいよ来たバカリズム冠番組のパイロット版。4/2(火)からレギュラー放送がスタートするらしい。しかし公式HPを見ると「2ヶ月限定のレギュラー放送決定!」と書いてあり、のっけからどうも及び腰な感じが否めない。その割にはこうやって1時間SPをレギュラ…

どぶろっくがようやく来た!…かもしれない…もしかしてだけど…。~『日10☆演芸パレード』2013/3/10放送回~

どうやらどぶろっくに風が吹いている。ような気がする。Maybe。 この日の『エンパレ』で、どぶろっくは輝いた。よくわからない番組内セレクションで優勝し、来たるべき2時間スペシャルへの出場権を得た。そして今日放送されていた日テレの、これまたよくわか…

『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』2013/3/3放送回~企画主旨とは無関係に発動する「悪玉天使」鈴木拓のイノセント・ワールド~

またしても鈴木拓の妄言が炸裂した。言うまでもないがこれは間違いなく才能である。使い方次第では人に致命傷を与えることもできるような能力をこそ才能と呼ぶ。それ以外の、文字どおり「毒にも薬にもならぬ能力」を才能とは言わない。 すっかり「天然」とし…

『IPPONグランプリ(第8回)』2012/11/17放送回~王者精彩を欠く多様性の季節~

大喜利の祭典も8回目ということで、良い意味でも悪い意味でも、だいぶ笑いの基準がわかりにくくなってきた。 『M-1』にしろ『キングオブコント』にしろ『すべらない話』にしろ、回を重ねていくと軸がどんどんブレるというか増えていって判定が難しくなるもの…

『日曜ゴールデンで何やってんだテレビ』2012/10/28放送回~毒にも薬にもならない笑いの医薬部外品~

主役が楽をする番組は、やはり面白くなりようがない。それにしても、2回目にしてここまで熱量のない番組になるとは。 先週書いたことが、まさに悪いほうに当たってしまった。若手芸人(キングオブコメディ、、劇団ひとり、東京03)にネタをやらせて、主役の…

『解決! ナイナイアンサー お騒がせ芸能人がアノお悩みを初告白SP』2012/10/23放送回~さんまあるいは紳助のためのフォーマット~

小林麻耶にあだ名をつけるとしたら「罠」。改めてそう確信した。それに関してはなんとなく感覚で把握していただくとして、ナインティナインの新番組である。 芸能人が各界から連れてきた20人もの相談員に悩み相談をするという、『ホンマでっか!?TV』にゲスト…

『日曜ゴールデンで何やってんだテレビ』2012/10/21放送回~テレビ界を揺るがす「大物二人」ブームは来るのか?~

ビートたけしと石橋貴明による新番組。この番組が今後のバラエティ番組のありようを変えていくかもしれない。 こういう言い方をする場合、「かもしれない」と言いながらも書き手は「そうに違いない」と裏で思っていたりするものだが、そうではなくて本当に、…

『キカナイトF』終了に寄せて

現時点でこの上なく魅力的なメンバーを揃えていながら、その使い道が最後までわからず迷走した『キカナイトF』が来週で終わる。残念だが納得だが残念。 深夜のパイロット版のときは、「まあパイロット版だから今後に期待」という感触が強かったが、結局のと…

『27時間テレビ』でタモリを熱くさせるのは誰だ?~『プレタモリ』2012/7/17放送~

今のタモリに必要なのは、刺激だけなのかもしれない。その実力も感性も、まだまだ鈍ってはいない。しかしその刺激の供給源は、いったいどこにあるのか? 今回の『27時間テレビ』は、おそらくそこが最大の見どころになるだろう。そう予感させる事前番組だった…

『夏が来た!! HEY!HEY!HEY! お台場“生”の歌祭り』2012/7/9放送回~生のボケが持つ笑いの牽引力~

最近の松本人志はまとめのコメントがやたら上手い。その上手さはどの上手さかというと落語的な上手さで、たとえば鈴木奈々のような天然系タレントが2分かけて喋ったオチのない話を、ひとことで完全に表現しつつ若干のひねりを加えてオチをつける、そんな能力…

『エンタの神様 大爆笑の最強ネタ大連発SP』2012/6/30放送~見事に功罪相半ば~

前回のスペシャルに引き続き、新録ネタと既発ネタをごちゃ混ぜにした謎の構成。 単純に番組の「現役感」を出したいから新録ネタを混ぜているということなんだと思うが、明らかに過去の傑作に比べ新録ネタが弱いので、番組に関してはむしろ「終わった感」のほ…

『ロンドンハーツ』2012/6/26放送回~笑いは誰のものだ?~

笑いはいつから大人のものになったのか? いやもとから大人のものだったのかもしれないし、たとえば欧米ではそもそも大人のものなのかもしれない。だが自分が子供だった頃のことを考えてみると、笑いは間違いなく子供のものだったような気がする。 当時の大…

『人志松本のすべらない話』2012/6/23放送回~おもしろき こともなき世を おもしろく(晋作高杉のすべらない辞世の句)~

『すべらない話』を観ていると、いつも「そもそも『すべらない話』とは何だろう?」という原点に立ち戻らされる。 もちろんそんなのは単なる言葉のニュアンスの問題であって、面白ければ何でもいいという意見にはむしろ賛成だが、話者が15人にまで膨れ上がっ…

『ピカルの定理』はなぜ面白くならないのか?

「単純にネタの面白い芸人を集めれば面白い番組ができるわけではない」というのはもうすっかり周知の事実だが、それはなぜかと問われれば、たぶん答えが多すぎて特定することは難しい。コンビ同士の相性や、コントか漫才かの違いに代表される方向性の違い、…

『アメトーーク!』化以降のフォーメーション芸~『ロンドンハーツ』2012/6/19放送回~

最近の『ロンハー』は、企画云々よりも芸人のフォーメーションを楽しむ番組になっていて、そういう意味ではどんどん『アメトーーク!』化している。プロデューサーが同じなので自然と言えば自然な流れなのだが、むしろ意識的に寄せていっているようにも思え…

『OMOJAN』2012/6/12放送回~短く、太りすぎた企画~

毎回不完全燃焼の番組。その原因は挙げればキリがない。 番組の時間が正味20分しかない。5枠のうち2枠が宣伝目的の、笑いセンスのかけらもない人に与えられる。そもそもいらない審査員の、的外れな褒め言葉。司会の三田アナの、進行することしか考えていない…

『さまぁ~ず×さまぁ~ず』2012/6/9放送回~燃えない怒りを笑いに変えるシステム~

芸人は結婚すると丸くなる。嫁が歳下であればあるほど丸くなる。そして子供ができるとさらに丸く、子供が女の子だとMAX丸くなる。 自分の番組を嫁やその家族が観ていたら何を言われるだろうか? ましてや娘には、どのような影響を与えてしまうだろうか? そ…

『アメトーーク!』2012/6/7放送回~時に百見は一聞にしかず~

今回のくくりは『師匠サミット』。といっても師匠によるサミットではなく、師匠(的ポジションの人)たちの逸話を語るサミットなので、出場者はサバンナ高橋、ナイツ、TKOら若手というほどでもない中堅芸人の面々。彼ら中堅芸人が、テレビではまったく観たこ…