お笑い番組評
10月から、『アメトーーク!』が週2回放送になるらしい。 http://www.oricon.co.jp/news/2077897/full/ 本人は違う曲を演奏しているつもりでも、聴き手からすると「この人、なんか最近似たような曲ばかりやってるな」と感じることが、音楽ではよくある。それ…
年末年始といえば、ネタ番組の大量出現にお笑い好きとしてワクワクしつつも、同じネタを繰り返し観ることになって食傷気味になるのは例年の通り。その中で本当に存在価値があるのは、単にそれぞれの「鉄板ネタ」を並べただけの番組ではなく、やはり番組とし…
果たしてお笑い芸人に、今さら「型どおりの技術」を求めるべきなのかどうか、「上手さ」と「笑い」の質と量は比例するのかどうか。そういった問題に関して、お笑いコンテストの結果を見るたびに考えさせられる。もちろん重要なのは「面白いかどうか」のほう…
当然だが物事を制作するにおいてもっとも肝要なのは、何事においても「適材適所」を心がけるということである。餅は餅屋、蛇の道は蛇。たとえば事実の報道を旨とするニュース番組の司会に、嘘つきのお笑い芸人を置くなんてのはもってのほかである。 一方、笑…
話を聞く気のない人には、何を言っても通じない。自分のちっぽけなプライドを守ることだけに汲々として他人の意見に耳を塞いでいる人間には、どんなに有益な情報をどんなに親切に伝えようと、すべてがはじかれてしまう。 それは「人」の問題ではなく、あるい…
人の話というのは不思議なもので、相性のいい触媒を得ると面倒な手続きなしに一気に深いところまで行ける。文章とは異なる会話ならではの面白さとは、まさにそういった「打てば響く」関係がもたらしてくれるものだ。この日の『ヨルタモリ』にゲストとして訪…
「隣の芝生は青く見える」とは言うものの、果たしてテレビとラジオは、本当に隣人なのだろうか? その両者にはどれほどの親和性があって、どこまで交換可能なのだろうか? もし隣人であったとしても、ハリウッドスターの豪邸と浪人生アパートの一室くらいサ…
長寿番組の32年間を締めくくる大団円であるというのに、実のところ「ダウンタウンと爆笑問題の邂逅」という裏テーマの方にばかり気を取られていたのだが、結果としてもっとも印象に残ったのはSMAP中居正広のスピーチだった。だがそうした思いがけぬ山場が何…
3/31(月)の『笑っていいとも!』最終回のテレフォンショッキングのゲストが、ビートたけしであることが発表された。各メディアの様々な憶測に比べると、正直これは想定内の着地点と言わざるを得ない。近年は『27時間テレビ』における絡みも毎年のようにあ…
東京ダイナマイトは凄腕の気まぐれシェフである。「いいかげん」と「好い加減」が同じ意味になり得るということを、彼らのネタはいつも如実に証明する。 お笑いに限らず表現というものは、いつも「自由度」と「完成度」の間で揺れている。そもそも「どちらを…
ネタで認められた芸人がバラエティ番組のひな壇で活躍できないという状況が、さらに深刻化している。 それはもちろん、自らが設定した世界観の中で勝負できるネタと、他人の作り上げた世界観の中で勝負しなければならないバラエティという枠組みの違いによる…
バカリズム冠番組のレギュラー放送は、事前特番の流れそのままにこぢんまりとしたスタート。どうやら大喜利好きにとっては、意外性というよりは安心感を得るために観る番組。 今回の企画は「ますとり」という、字数制限のある大喜利の一本のみ。お題も芸人の…
いよいよ来たバカリズム冠番組のパイロット版。4/2(火)からレギュラー放送がスタートするらしい。しかし公式HPを見ると「2ヶ月限定のレギュラー放送決定!」と書いてあり、のっけからどうも及び腰な感じが否めない。その割にはこうやって1時間SPをレギュラ…
どうやらどぶろっくに風が吹いている。ような気がする。Maybe。 この日の『エンパレ』で、どぶろっくは輝いた。よくわからない番組内セレクションで優勝し、来たるべき2時間スペシャルへの出場権を得た。そして今日放送されていた日テレの、これまたよくわか…
またしても鈴木拓の妄言が炸裂した。言うまでもないがこれは間違いなく才能である。使い方次第では人に致命傷を与えることもできるような能力をこそ才能と呼ぶ。それ以外の、文字どおり「毒にも薬にもならぬ能力」を才能とは言わない。 すっかり「天然」とし…
大喜利の祭典も8回目ということで、良い意味でも悪い意味でも、だいぶ笑いの基準がわかりにくくなってきた。 『M-1』にしろ『キングオブコント』にしろ『すべらない話』にしろ、回を重ねていくと軸がどんどんブレるというか増えていって判定が難しくなるもの…
主役が楽をする番組は、やはり面白くなりようがない。それにしても、2回目にしてここまで熱量のない番組になるとは。 先週書いたことが、まさに悪いほうに当たってしまった。若手芸人(キングオブコメディ、、劇団ひとり、東京03)にネタをやらせて、主役の…
小林麻耶にあだ名をつけるとしたら「罠」。改めてそう確信した。それに関してはなんとなく感覚で把握していただくとして、ナインティナインの新番組である。 芸能人が各界から連れてきた20人もの相談員に悩み相談をするという、『ホンマでっか!?TV』にゲスト…
ビートたけしと石橋貴明による新番組。この番組が今後のバラエティ番組のありようを変えていくかもしれない。 こういう言い方をする場合、「かもしれない」と言いながらも書き手は「そうに違いない」と裏で思っていたりするものだが、そうではなくて本当に、…
現時点でこの上なく魅力的なメンバーを揃えていながら、その使い道が最後までわからず迷走した『キカナイトF』が来週で終わる。残念だが納得だが残念。 深夜のパイロット版のときは、「まあパイロット版だから今後に期待」という感触が強かったが、結局のと…
今のタモリに必要なのは、刺激だけなのかもしれない。その実力も感性も、まだまだ鈍ってはいない。しかしその刺激の供給源は、いったいどこにあるのか? 今回の『27時間テレビ』は、おそらくそこが最大の見どころになるだろう。そう予感させる事前番組だった…
最近の松本人志はまとめのコメントがやたら上手い。その上手さはどの上手さかというと落語的な上手さで、たとえば鈴木奈々のような天然系タレントが2分かけて喋ったオチのない話を、ひとことで完全に表現しつつ若干のひねりを加えてオチをつける、そんな能力…
前回のスペシャルに引き続き、新録ネタと既発ネタをごちゃ混ぜにした謎の構成。 単純に番組の「現役感」を出したいから新録ネタを混ぜているということなんだと思うが、明らかに過去の傑作に比べ新録ネタが弱いので、番組に関してはむしろ「終わった感」のほ…
笑いはいつから大人のものになったのか? いやもとから大人のものだったのかもしれないし、たとえば欧米ではそもそも大人のものなのかもしれない。だが自分が子供だった頃のことを考えてみると、笑いは間違いなく子供のものだったような気がする。 当時の大…
『すべらない話』を観ていると、いつも「そもそも『すべらない話』とは何だろう?」という原点に立ち戻らされる。 もちろんそんなのは単なる言葉のニュアンスの問題であって、面白ければ何でもいいという意見にはむしろ賛成だが、話者が15人にまで膨れ上がっ…
「単純にネタの面白い芸人を集めれば面白い番組ができるわけではない」というのはもうすっかり周知の事実だが、それはなぜかと問われれば、たぶん答えが多すぎて特定することは難しい。コンビ同士の相性や、コントか漫才かの違いに代表される方向性の違い、…
最近の『ロンハー』は、企画云々よりも芸人のフォーメーションを楽しむ番組になっていて、そういう意味ではどんどん『アメトーーク!』化している。プロデューサーが同じなので自然と言えば自然な流れなのだが、むしろ意識的に寄せていっているようにも思え…
毎回不完全燃焼の番組。その原因は挙げればキリがない。 番組の時間が正味20分しかない。5枠のうち2枠が宣伝目的の、笑いセンスのかけらもない人に与えられる。そもそもいらない審査員の、的外れな褒め言葉。司会の三田アナの、進行することしか考えていない…
芸人は結婚すると丸くなる。嫁が歳下であればあるほど丸くなる。そして子供ができるとさらに丸く、子供が女の子だとMAX丸くなる。 自分の番組を嫁やその家族が観ていたら何を言われるだろうか? ましてや娘には、どのような影響を与えてしまうだろうか? そ…
今回のくくりは『師匠サミット』。といっても師匠によるサミットではなく、師匠(的ポジションの人)たちの逸話を語るサミットなので、出場者はサバンナ高橋、ナイツ、TKOら若手というほどでもない中堅芸人の面々。彼ら中堅芸人が、テレビではまったく観たこ…