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『アメトーーク!』化以降のフォーメーション芸~『ロンドンハーツ』2012/6/19放送回~

最近の『ロンハー』は、企画云々よりも芸人のフォーメーションを楽しむ番組になっていて、そういう意味ではどんどん『アメトーーク!』化している。プロデューサーが同じなので自然と言えば自然な流れなのだが、むしろ意識的に寄せていっているようにも思える。それが悪いという話ではなくて、『アメトーク』化したことによって面白い回が増えたのは間違いない。

今日の3時間SPは、芸人20名が理想の女性芸能人を決める『俺たちのNo.1』と、女性タレントの自宅に淳が泊まって居心地の良さを測る『淳が泊まってジャッジ!ホントはイイ女GP』の二本立て。ちょうど前者が『アメトーク』化した最近の『ロンハー』、後者がそれ以前の『ロンハー』という感触の企画である。

個人的には、最近の芸人フォーメーションありきの形のほうが好きなのだが、すでに恒例となっているこの『俺たちのNo.1』という企画は、なぜかいつも期待したほどには面白くならない。

それはおそらく、それぞれの芸人たちが自分の好きな女性をプレゼンする言葉を持っていないからで、その点が他の企画や『アメトーク』とはだいぶ違う。たとえば格付け系企画のように毒舌をメインに展開するならば、「淳-有吉-ザキヤマ-後藤」あたりのフォーメーションが素晴らしく機能し鋭利な言葉が飛び交うのだが、やはり好きな人を説明するとなると、なかなか「好きだから好き」というニュアンス以上の言葉が出てこない。

対象が好きなものであっても、『アメトーク』のように題材が趣味の領域であれば、その話題のマニアックさやジャンルの特殊性が耳慣れぬ言葉(工場芸人による「アキシャルポンプシステム」等)を自然と生み出すから、これはこれで面白くなるのだが、対象が「女性」となると会話の内容が万人に開かれすぎているぶん、一般的なレベルの言葉以外のものが出てきにくいのではないか。

だから見どころはやはりひな壇のフォーメーション芸ということになって、「ザキヤマと有吉が火をつけたところに淳、ジュニア、フジモンあたりが油を注ぎ、後藤が火だるまになる」というような構図はやはり抜群に面白い。ただ、肝心の企画自体は徐々に単なる多数決になっていくので後半飽きがきてしまい、最終的にはやはり無難な人選になるのでちょっと物足りない。芸人のトークだけを楽しもうと割り切れればいいのだが、それにしてはトーク部分が少ないのがやはり物足りない。

番組後半の『ホントはイイ女GP』に関しては、前回手島優というモンスター(元カレの噛んだガムを箱に入れて大事に保存しているという奇行が発覚)を生み出してしまっただけに、それに比べるとさすがに全体として印象が薄かった。

各々の女性タレントが、淳が泊まりに来ることをあらかじめ聞いて事前に準備をしてしまっているので、正直お金と時間をかければかけるほど評価が上がる部分もある。どうせやるならばもっと抜き打ち感が欲しい。

それにしても2週続けての3時間SPというのは、『ロンハー』の凄さを物語っているのか、それ以外の番組(あるいはテレビ界全体)の弱体化を示しているのか。近ごろ時間枠拡大SPを頻繁にやる番組が妙に多いが、それはそういった「すでに結果の出ている番組」に頼るという不景気時の保守傾向を象徴しているように映る。それはつまり、局(とスポンサー)側の冒険心のなさ臆病さを表しているのではないか。