テレビに耳ありラジオに目あり

テレビ/ラジオを自由気ままに楽しむためのレビュー・感想おもちゃ箱、あるいは思考遊戯場

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2026年春ドラマ傾向と対策(4月スタート作まとめ)

いま終わりの時期を迎えている1月スタートの冬ドラマは、賛否両論の話題作『冬のなんかさ、春のなんかね』、王道ヒューマンミステリーの『再会』、独自すぎる路線の『探偵さん、リュック開いてますよ』、そして鬼気迫る展開の日曜劇場『リブート』など、質の高い作品がわりとバラエティ豊かに存在していたように思う。

一方で、わりと品質の高い作品を安定して供給し続けてきた信頼度の高いドラマ枠の中に、いつもよりはずれが多かった印象も。特に脚本の出来に関しては、深夜ドラマと質的な逆転現象が起きている箇所もちらほらと。

その傾向は今後さらに強まるのか、それとも歴史ある枠が今期は巻き返してくるのか――というのが、個人的には前期から引き継いだ今期の裏テーマかもしれない。じゃあ表のテーマはなんなんだと言われるとそんなものは別になくて、単に面白いものがたくさん出てきてくれるといいな、という身も蓋もない願望。


【月曜日】
◆『サバ缶、宇宙へ行く』(フジテレビ/月曜21:00/北村匠海主演/4月13日スタート)
www.fujitv.co.jp

水産高校の先生と生徒たちが、宇宙食開発に挑戦した実話をもとに描く青春ストーリー。

『宙わたる教室』『いつか、無重力の宙で』『僕達はまだその星の校則を知らない』など、ここ最近妙に宇宙を題材にした学園ドラマが増えてきているが、これはいったいどういった流れなのか。

しかし実際のところ、「学園」という究極の日常と「宇宙」という壮大なファンタジーを掛けあわせることにより、「地に足を着けたまま壮大なスケール感を出せる」という振れ幅的な効果はたしかにあるのだろう。その三作はいずれもクオリティの高い作品に仕上がっている。

だからといって本作が良いドラマになるという保証はないが、それらの成功例が積み上がったからこそ実現したタイミングであはあるような。設定としては充分ニッチなはずなのに、それなりに成功した例が直近に複数あるおかげで、むしろ王道感も少なからずある。

しかし「宇宙」と「宇宙食(サバ缶)」というのも、実は近いようでスケール的にはむしろかけ離れている感もあって、「サバ缶」の現実味のほうを基準に考えると、内容はわりとベーシックな学園ドラマになるような気も。面白くなるかどうかは、主人公である教師のキャラクター次第か。


◆『銀河の一票』(関西テレビ・フジテレビ/月曜22:00/黒木華主演/4月?日スタート)
www.ktv.jp

政界を追われた議員秘書が、スナックのママをスカウトして都知事選に挑む選挙エンターテインメント。

政治の世界が絡むとなると、やはりその裏側の世界にどこまで踏み込んでくれるのか、とついジャーナリズム的な期待をしてしまう。

本作の脚本がそういった暗部にまでアプローチする作風であるのか、それともその手前でコメディに昇華する作風であるのか。

キャスティング的には後者であるようにも見えるが、同枠の『エルピス――希望、あるいは災い――』で政治問題に深く切り込んだ佐野亜裕美プロデュース作品となれば、攻めの姿勢を期待しないわけにはいかないだろう。


◆『産まない女はダメですか? DINKsのトツキトオカ』(テレビ東京/月曜23:06/橋本環奈主演/3月30日スタート)
www.tv-tokyo.co.jp

共働きで子供を持たない「DINKs」を選択したはずの夫婦が、夫の裏切りによる予期せぬ妊娠によって壊れていく社会派ヒューマンドラマ。

ここでの「裏切り」というのがいわゆる浮気などではなく、しかも策を講じるのが妻ではなく夫の側であるというのは、ちょっと前までは考えにくかった構図かもしれない。しかしいまとなっては、わりとリアルな範疇の設定ではあるような。

主演の妻役は、近ごろ方々のドラマでバイプレイヤーとしての存在感を発揮し続けている宮澤エマ。その次なるステップということになるのか、満を持しての地上波連ドラ初主演作品。


◆『多すぎる恋と殺人』(日本テレビ/月曜24:24/森カンナ主演/4月6日スタート)
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奔放な女刑事と関係を持った男が次々と殺されていくという、ラブサスペンスコメディー。

「刑事と犯人の恋愛関係」まではわりとよくある話だが、それが取っかえ引っかえとなるとさすがに珍しい。

ある種コント的な設定だが、考えてみれば名探偵が毎度事件現場に遭遇するのだって偶然性の高すぎる設定ではある。それでもたしかなリアリティを感じさせられるかどうかは、キャラクターの感情描写や事件のディテールを詰め切れるかどうかの勝負になってくるだろうか。


【火曜日】
◆『リボーン ~最後のヒーロー~』(テレビ朝日/火曜21:00/高橋一生主演/4月14日スタート)
www.tv-asahi.co.jp

富と名声を極めたIT社長が階段から突き落とされたのをきっかけに、14年前の世界で借金まみれの青年に生まれ変わる転生モノ。

近ごろは、生まれ変わりだのタイムスリップだのといった「人生やり直し」系ドラマが妙に多いが、それだけ観る側も「人生やり直したい願望」が強いということなのか。

個人的にそれ系に関してはすっかり辟易しているのだが、それでも冬ドラマ『リブート』のように、その設定が有機的に機能していれば強力な武器になる設定であるのも確か。

本作に関しては「底辺からの逆転劇」という下克上ストーリーに加えて、「主人公を突き止めた犯人を捜す」というミステリー的な軸もある二軸構造になっているようなので、各々の要素はありがちではあるにしても、物語としての推進力は強めに設計されているように見える。

個人的には「リボーン」というそのまんますぎるタイトルと、「最後のヒーロー」というアバウトなサブタイトルの野暮ったさからあまり期待できない感もあるが、高橋一生主演という部分には惹かれるものがある。


◆『夫婦別姓刑事』(フジテレビ/火曜21:00/佐藤二朗、橋本愛主演/4月14日スタート)
www.fujitv.co.jp

夫婦関係を隠したままバディを組んでいる「夫婦別姓刑事」。

すっかり定番化している刑事もの、中でもバディものに、いまどきらしい新たな角度を見出した設定だが、定番からちょっとだけ視点をズラしたその塩梅に、良くも悪くも「企画/原案・秋元康」味を感じる。

二人の関係性を中心にコミカルなトーンはありつつも、同じく秋元康が関わっていた『あなたの番です』的な考察要素もあるようなので、それが作品としての面白さにつながるかどうかは別にしても、回を追うごとに盛り上がるような展開は間違いなく用意されているだろう。


◆『時すでにおスシ!?』(TBS/火曜22:00/永作博美主演/4月7日スタート)
www.tbs.co.jp

題名を見た時点で思わず頭を抱えてしまいそうになるが、しかし永作博美と松山ケンイチが出ていて大きくはずすイメージが湧かない。

それに兵藤るりが書いた直近のドラマ『マイダイアリー』が非常に繊細な仕上がりであったことを考えると、この題名から連想されるような安易で大雑把な作品になるはずはない……と信じたい。

とはいえ、「子育てを終えた主婦が第二の人生として鮨職人を目指す」というあらすじからすると、あまりにも題名通りでしかないわけだが、あとはとにもかくにもキャラクター次第といったところか。


◆『コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店』(NHK総合/火曜22:00/中島健人主演/4月28日スタート)
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九州地方でアイドル的人気を誇るイケメンコンビニ店長と、野性味あふれる謎の男がお客様の悩みをスタイリッシュかつワイルドに解決。さらにパートの女がフェロモン店長をWEB漫画化して大バズり――とあらすじをまとめるとかなりとっ散らかった印象になるが、つまりは毎回一話完結型のコメディということになるのか。

連続ドラマというよりギャグ漫画的な設定ではあり、コメディと「いい話」の配合比率がどれくらいなのかが気になるところ。


◆『失恋カルタ』(TBS/火曜25:26/梅澤美波、西垣匠、加藤小夏主演/4月1日スタート)
www.mbs.jp

「カルタに書かれた句をもとに作られたドラマ」という制作プロセスはさすがに珍しい。そのカルタの筆者は、芸人であり芥川賞作家でもある又吉直樹。

等身大のラブストーリーとのことだが、その中心にある言葉から紡ぎ出されるイメージを劣化させることなく、言葉の裏にある感情をどれだけの解像度で描き出せるのかに注目。


【水曜日】
◆『ボーダレス~広域移動捜査隊~』(テレビ朝日/水曜21:00/土屋太鳳、佐藤勝利主演/4月8日スタート)
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管轄を越えた捜査を可能にする「広域移動捜査隊」という、いかにも『踊る大捜査線』で「所轄」という警察独自の仕組みを世に知らしめた君塚良一らしい設定。

いかにもフジテレビ的な軽妙さとけれん味を備えた君塚脚本と、カッチリした刑事ドラマ作りに定評のあるテレ朝がどのような化学反応を起こすのかは気になるところ。公式ホームページを見る限り、題名も含めていまのところ生真面目なテレ朝感のほうが優勢であるように思われるが、果たして両者がしっくり馴染むバランスを見出せるのかどうか。


◆『LOVED ONE』(フジテレビ/水曜22:00/ディーン・フジオカ主演/4月8日スタート)
www.fujitv.co.jp

遺体から真実を見出す法医学モノとなると、立ちはだかるのは『アンナチュラル』という高い壁。

事前情報を見る限り、そことの差別化を図れるような要素はいまのところ見えない。強いて言えば「LOVED」の部分になるのだとは思うが……。


◆『月夜行路―答えは名作の中に―』(日本テレビ/水曜22:00/波瑠、麻生久美子主演/4月8日スタート)
www.ntv.co.jp

主婦と文学オタクのバーのママが、文学の知識を生かして難事件を解き明かしていく――という設定だけをまとめてみると、なんだか単発の二時間サスペンスのような。

ちょっと狙いが明確すぎて温度感を感じづらいが、文学作品といっても選択肢はいくらでもあると考えると、それほど無理のある設定ではないのかもしれない、とも。

主役二人の関係性に何か掘り下げるべきものがあれば、物語の軸はグッと安定するような気はする。


◆『102回目のプロポーズ』(フジテレビ/水曜23:00/唐田えりか、せいや主演/4月1日スタート)
www.fujitv.co.jp

伝説のドラマ『101回目のプロポーズ』の二人のあいだに生まれた娘が主人公とのことで、これを続編と言っていいのかどうか。さすがに企画モノ感が濃厚ではある。

もともとベタな話で大ヒットしたわけだが、今作もライバルが御曹司のピアニストというあたり、「ベタ中のベタを楽しめるかどうか」という観る側の姿勢次第にはなってくるだろう。


◆『鬼女の棲む家』(日本テレビ/水曜24:24/石田ひかり主演/4月1日スタート)
www.ctv.co.jp

ごく普通の主婦の裏の顔はSNSの特定班――といういまどきの勧善懲悪設定。いや「勧善」かどうかは微妙なところかもしれないが。

タイムリーな風刺に終わりそうな予感があるが、やがて主人公の鬼女が追い込まれる展開にまでなれば面白くなってくるような気も。


◆『水曜日、私の夫に抱かれてください』(テレビ東京/水曜24:30/菅井友香、入山法子主演/4月1日スタート)
www.tv-tokyo.co.jp

既婚者である彼の妻から「夫と浮気し続けてくれませんか?」と依頼されるという、ひと癖ある「公認不倫」設定。

それ以上に俳優の沢村一樹が監督を務めているのが気になるが、原作があるのでそこまで大きな影響はないか。


◆『サレタ側の復讐 同盟を結んだ妻たち』(テレビ東京/水曜25:00時/水崎綾女、篠田麻里子、矢吹奈子主演/4月1日スタート)
www.tv-tokyo.co.jp

三人の「サレ妻」が「交換復讐」を試みるという、もはやテレ東深夜帯名物となった夫への復讐劇。

復讐同盟を結んだ三人のあいだに明確なルールがあるあたりのシステム感がやや新味だが、早々にエスカレートしてリアリティが犠牲になってしまうのが、この手のドラマが毎度繰り返しがちな問題点であるような気も。


【木曜日】
◆『未解決の女 警視庁文書捜査官 Season3』(テレビ朝日/木曜21:00/鈴木京香主演/4月?日スタート)
www.tv-asahi.co.jp

女同士のバディ刑事モノの片方を、波瑠から黒島結菜に変更してのシーズン3。

毎度観ていたはずだがどんな話だったかあまり記憶に残っていないということは、それほど個性的な話ではないが毎話のクオリティがたしかであるということかもしれない。いやそれは単にこちらの記憶力の問題か。忘れているほうが新鮮に楽しめるメリットがある……と思ってみる自由。


◆『今夜、秘密のキッチンで』(フジテレビ/木曜22:00/木南晴夏主演/4月?日スタート)
www.fujitv.co.jp

日常生活に不満を抱える主婦と、秘密を抱えるイタリアンシェフによる大人のためのファンタジックラブストーリー。

と言われるとなんとなくなるほどと思ってしまうが、よくよく考えてみると何が「ファンタジック」なのかがわからない。

「恋愛」と「グルメ」を掛けあわせた話はもはやありがちとも言えるが、その「ファンタジック」な部分に何か革新的な要素があるということなのか。むしろその要素がリアリティを損ねる可能性のほうが高いような予感がするが……。


◆『君が死刑になる前に』(読売テレビ・日本テレビ/木曜23:59/加藤清史郎主演/4月2日スタート)
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出会うはずのなかった殺人犯と過去で出会ってしまうタイムスリップサスペンス――とこうして内容を一行でまとめてみると、『名探偵津田』を真っ先に思い浮かべてしまう昨今。

タイムスリップ要素はあまりに使い古された結果、もはやスリルよりも笑いのほうと親和性が高いような気が。


◆『惡の華』(テレビ東京/木曜24:00/鈴木福、あの主演/4月9日スタート)
www.tv-tokyo.co.jp

思春期に揺れ動く心の変化を描いた壮絶青春譚。

通常ならば漫画原作の癖が強すぎるがゆえに、わざわざドラマ化するのはどうかと思うところだが、Disney+が関わっているとなると、かなり尖った見せかたをしてきそうな期待感はある。


◆『るなしい』(テレビ東京/木曜24:30/原菜乃華主演/4月2日スタート)
www.tv-tokyo.co.jp

恋愛を禁じられた「神の子」が愛する人を信者ビジネスに陥れる宗教純愛サスペンス。

いかにも漫画らしいフィクション度強めの設定だが、そうなると深夜ドラマではなくNetflixレベルの予算感で観たい気も。


◆『ネタジョ』(MBS/木曜25:29/辻凪子主演/4月30日スタート)
www.mbs.jp

お笑いが題材だが主人公は漫才師ではなく、ネタを愛し劇場に通い詰める「ネタジョ」。

実在の漫才師が登場するうえ、主人公がその漫才を分析することになるようなのでその内容は興味深いが、そこに鋭さを感じられるかどうかで明暗が分かれる予感。

公式HPには「ロジカルかつ熱狂的な解説」とあるが、安易に熱狂のほうへ逃げることなくロジカルに視聴者をうならせるレベルの分析を披露できるかどうか。

そもそもが吉本制作なので、新喜劇的な人情話になりそうなにおいがすでに濃厚ではあるが……。


【金曜日】
◆『刑事、ふりだしに戻る』(テレビ東京/金曜21:00/濱田岳主演/4月17日スタート)
www.tv-tokyo.co.jp

またしてもタイムリープか……というのが正直なところ。

たしかに過去に戻れればイチから再捜査ができるという便利な設定ではあるのだろうが、さすがに同クールで他と設定がかぶりすぎている。

それでも刑事ドラマとしての解決プロセスが充実していれば救いだが、だとしたら純粋な刑事ドラマとして観たいと思ってしまう。


◆『田鎖ブラザーズ』(TBS/金曜22:00/田鎖ブラザーズ主演/4月17日スタート)
www.tbs.co.jp

当ブログでも過去の名作として引きあいに出すことの多い『最愛』を手掛けた新井順子プロデュース作品。

その時点で期待は相当に高まる。ただし前作『海に眠るダイヤモンド』に関しては、個人的に世間が言うほど素晴らしいとまでは思わなかった。

31年前の両親殺害事件の犯人を追う、刑事と検死官の兄弟によるクライムサスペンス。

岡田将生と染谷将太を中心に据えた時点で、もはや作品のクオリティは保証されたような気になってしまう。「田鎖」という苗字の字面と響き、及びタイトルロゴの書体を見た時点で、明らかに他とは一線を画するこだわりとセンスを感じる。やはり作品の魂は細部に宿るということか。

今期一番の注目作であることは間違いないだろう。


◆『余命3ヶ月のサレ夫』(テレビ朝日/金曜23:15/白洲迅主演/4月24日スタート)
www.tv-asahi.co.jp

題名があまりに説明的すぎて、その時点で安っぽく感じられてしまう。インパクトを出したいのはわかるし、WEB漫画原作の常道ではあるのだろうが、それ以上でも以下でもないのだろうなと感じてしまう。

とはいえ、妻から夫への復讐劇がやたらと多い中で、逆に夫から妻への復讐劇というのは意外と珍しく映る。


◆『週末旅の極意3~結婚ってしなきゃいけないもの?~』(テレビ東京/金曜24:52/深川麻衣主演/4月3日スタート)
www.tv-tokyo.co.jp

旅とグルメに強い局の特性を生かしたテレ東ならではの旅ドラマ。シーズン1の「夫婦」、シーズン2の「家族」に続くシーズン3のテーマは「結婚」。

それにしてもテレ東の深夜ドラマは、壮絶な復讐劇と趣味を生かした癒やし系の両極に二分されているのだなぁと改めて。


【土曜日】
◆『タツキ先生は甘すぎる!』(日本テレビ/土曜21:00/町田啓太主演/4月11日スタート)
www.ntv.co.jp

不登校の子供たちが集まるフリースクールを舞台にしたヒューマンドラマ。タイトル通り、主人公のタツキ先生が子供たちに甘すぎるというのが、学園モノとしてはいまっぽい要素かもしれない。昔は厳しくなければ学園ドラマは成立しなかった。

公式HPを見ると、フリースクールのボランティアスタッフを務める大学生役があの寺田心くんであることに驚くが、胸の前で組んでいる彼の腕が思いのほか太いことにさらに驚く。いつのまにこんなにたくましく育っていたのか……(遠い目)。

以前このプロデュースチームが手掛けた『放課後カルテ』が素晴らしい作品だったので、それにも通じる方向性の優しい良作に仕上がる予感はある。


◆『ターミネーターと恋しちゃったら』(テレビ朝日/土曜23:00/宮舘涼太主演/4月4日スタート)
www.tv-asahi.co.jp

これはさすがに題名の時点でリアリティがなさすぎて萎える。

「ターミネーター」という名称はシュワ以外にも使いまわして良いものだったのか。


【日曜日】
◆『GIFT』(TBS/土曜21:00/堤真一主演/4月?日スタート)
www.tbs.co.jp

天才物理学者が車いすラグビーと出あい、弱小チームを勝利へと導くスポーツヒューマンドラマ。

これまで誰も手を着けていない設定でありながら王道、といういかにも日曜劇場らしい構え。狙いすました設定が視聴者に新鮮さをもたらすのかハードルにとして立ちはだかるのか。


◆『エラー』(ABC・テレビ朝日/土曜22:15/畑芽育、志田未来主演/4月12日スタート)
www.asahi.co.jp

とある女性を死なせてしまった女と、死んでしまった女性の娘が真実を知らぬまま友情を育むヒューマンサスペンス。

シンプルに見えて込みいった設定ではあり、真実を知ったときに二人の友情がどうなるのかという山場は見えるが、それ以外の展開がどうにも見えてこない。

何か母親の死に関する隠された真相があるということなのか? しかし題名からすると、その死は意図されたものではなく、単なるエラーの結果でしかないように受け取れる。

公式HPのあらすじを読む限り、後半息切れしてしまいそうな設定であるように思うが、なにかしら別方向への展開があるのだろう。


◆『10回切って倒れない木はない』(日本テレビ/土曜22:30/志尊淳主演/4月12日スタート)
www.ntv.co.jp

ここにも企画の欄に「秋元康」の名前があるが、いったいどの程度の関わりなのか。

題名は韓国のことわざで、「どんなに難しいことでも、何度も挑戦し続ければ必ず成功できる」という意味であるらしい。しかしことわざにしてはあまりひねりがないというか、「諦めなければ夢はかなう」的な、あまりリアリティのない言葉であるような気も。

かといって日韓共作というわけでもなさそうだが、主人公は幼少期に日本人の両親を失い、韓国財閥の養子になったという設定。そこで失脚して日本に戻ってきた彼と、貧しさを乗り越えた女性医師が出会うというラブストーリー。

なんだか設定となる要素を切り貼りした感が否めず、各要素の有機的なつながりが見えてこないため、どうにも企画書的な印象。


【月~木曜日】
◆『ラジオスター』(NHK総合/月~木曜22:45/福地桃子主演/3月30日スタート)
www.nhk.jp

昨年、『いつか、無重力の宙で』『ひらやすみ』といった佳作を生み出した月~木毎話15分の「夜ドラ」枠。

能登へボランティアでやって来た主人公が、町の住人たちとラジオ局を開局。名もなき市民がスターになっていく様を描く、ノンストップエンターテインメント。

個人的にはラジオが好きなので興味深い設定。しかし「ラジオスター」といってもどういったタイプのパーソナリティーなのか。純粋にトークの面白さで勝負するのか、人情味あふれるタイプなのか、声の良さが売りなのか。

その点、同じくラジオを題材にした『波よ聞いてくれ』の主人公はぶっ飛んでいて痛快だったが、もちろんそこまでではないにしても、エピソードトークの面白さを武器にするとなれば、脚本が相当大変なことになりそうな気が。

とりあえずラジオの魅力が伝わるといい。


【今季の個人的注目作】

◎『田鎖ブラザーズ』
『最愛』プロデュースチームへの圧倒的信頼感。

○『ボーダレス~広域移動捜査隊~』
対してこちらは、君塚良一脚本への信頼。ただしテレ朝とのマッチングに不安も。

△『タツキ先生は甘すぎる!』
『放課後カルテ』プロデュースチームが、あの空気感に近いものを生み出してくれることを願って。


2026年冬ドラマおすすめベスト5(1月スタート作)

とりあえず第1~2話が終了したタイミングで、面白かった/続きが気になる作品を5本に絞ってみた。
より詳細な感想に関しては、リンクを貼った各1話目のレビューにて。


1位『冬のなんかさ、春のなんかね』(日本テレビ/水曜22時/杉咲花主演)

開始早々、早くもその単館映画を思わせる会話劇が、ドラマファンのあいだで賛否を巻き起こしている話題作であり問題作。

人の心の襞に分け入っていくようなこの微に入り細を穿つ丹念な会話を、「繊細で思いやりがある」と取るか「図々しく無神経」と取るかで評価は真っ二つに分かれるだろう。

実のところ正解は「どっちも」であり、話し相手の解釈によって性格が真逆に捉えられてしまうことも、同じ会話が良いほうにも悪いほうにも誤解され得る危うい可能性を常に孕んでいることも、いずれも非常にリアルであると感じる。

質問を多投する杉咲花演じるヒロインのスタンスに、「子供のような純粋さと相手に寄り添うやさしさ」を感じるのも、「痛いところを針で刺すようなあざとい小悪魔」を感じるのもやはり両方とも事実で、こういった二律背反とも言える複雑な要素を同時に表現しようとする貪欲なアプローチこそが、まさにこの作品の面白さであり存在意義であるだろう。

この安易な答えを許さない、質問がさらに次の質問を呼び込むような粘り強い会話姿勢は、何かと言えばすぐに最短距離の正解ばかりを求める現代への的確な批評にもなっている。

今後この作風を真似する作品が続々と現れる(そして実際に真似するのは恐ろしく難しい)であろう、おそらくは日本ドラマ界における転換点のひとつになるように思われる。

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2位『リブート』(TBS/日曜21時/鈴木亮平主演)

初回から息をもつかせぬ怒濤の展開。

「整形=リブートによって別人になりすます」という設定はかなりリアリティ面におけるハードルが高いが、主人公の選択肢を次々と容赦なく奪っていくことにより、「そうせざるを得ない」状況へとグイグイ追い込んでいく。

フィクション度合いが高く下手をすると安っぽくなりがちな設定を、日曜劇場ならではの重厚感と展開力の高い脚本、そして実力派俳優陣の演技力によってスリリングに成立させている。

警察に追われる場面など、もう少し時間をかけてジリジリと多い込んでほしいと思われるシーンもあるが、おかげで展開のスピード感が損なわれていないとも言える。

謎が謎を呼ぶ考察要素も多分に含まれており、とにかく続きが気になる推進力の高い作品。

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3位『再会~Silent Truth~』(テレビ朝日/火曜21時/竹内涼真主演)

前クールの『良いこと悪いこと』やかつての名作『最愛』と同様、過去に起こした事件と現在の事件が奇妙につながっていく「四次元展開」ミステリー。

1話目の時点ではまだ判明している事件の詳細や人間関係にまつわる情報量が少なく、昨今のドラマにしてはやや立ち上がりが悠長な印象ではあるが、この先尻上がりに状況が拡大し展開していくものと思われる。

そうなるといったいどのタイミングで本格的に謎めいた過去と現在をつなぐスイッチが入るのか、ここからの展開に期待が膨らむ。

2026年冬ドラマ第1話感想/レビュー第3弾(1月スタート作)~『再会~Silent Truth~』『東京P.D. 警視庁広報2係』『未来のムスコ』 - テレビに耳ありラジオに目あり


4位『探偵さん、リュック開いてますよ』(テレビ朝日/金曜23時15分/松田龍平主演)

明らかに他の作品とは一線を画する、異質な世界観と空気感。

松田龍平演じる探偵兼発明家の飄々としたキャラクター、そこへ持ち込まれる取るに足らぬ依頼内容、温泉街というのどかなシチュエーション、そこでの主たる移動手段(人の愚痴を原動力に走るキックボード)、手作りの発明品の数々……とにかくあらゆるドラマティックになり得る要素をすべて脱臼させたような、ユートピアだかディストピアだかわからない状況で起こる些細な出来事になぜか癒やされるという不思議。

1話目の解決手段はやや反則気味であったが、発明品の使いかたの底が抜けている2話目はまさにこの作品の真骨頂であると感じた。

生きかたのトーンが合う人には、もしくはせっかちな現実に嫌気が差している人には癖になるであろう作品。

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5位『令和に官能小説作ってます』(テレビ大阪/水曜24時/徳井義実チュートリアル)、桃月なしこ主演)

タイトル通りの官能小説編集部というニッチな舞台設定にばかり目が行きがちだが、深夜ドラマの30分枠という限られた時間の中に、喜怒哀楽様々な感情がギュッと詰め込まれている密度の高い作品。

濃密な用語が飛び交う大喜利のような題名会議があり、希望外の部署に配属された主人公が仕事にやりがいを見つけていく成長譚があり、それをサポートする編集長および編集部員らとの人間関係があり、またタッグを組む作家にもまたそれぞれの物語がある。

シリアスとコメディのバランスが絶妙で、毎度楽しみながらも、ふと心に大切な何かが残る。

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2026年冬ドラマ第1話感想/レビュー第6弾(1月スタート作)~『リブート』『元科捜研の主婦』『DREAM STAGE』『50分間の恋人』『キンパとおにぎり~恋するふたりは似ていてちがう~』

今期からなんとなくはじめてみたわりには、負担が思いのほかハードだったこの第1話巡回企画。

ラストは、『リブート』『元科捜研の主婦』『DREAM STAGE』『50分間の恋人』『キンパとおにぎり~恋するふたりは似ていてちがう~』の5本を取り上げる。


◆『リブート』(TBS/日曜21時/鈴木亮平主演)

序盤から怒濤の展開に圧倒された。枠の持っている力がそもそも強いがゆえに、日曜劇場らしくどっしりとした横綱相撲で来るかと思いきや、1話目からむしろチャレンジャー寄りのスタンスでいきなりかっ飛ばしてきた。それでいて深夜ドラマのような拙速さを感じさせないのは流石のバランス感覚。

脚本の黒岩勉はかつて日曜劇場で『グランメゾン東京』のような作品も手がけているが、今回は『マイファミリー』方面のがっつりミステリー路線。そこに加えてカンテレの怪作『僕のヤバイ妻』の尖った狂気も漂わせている。

事前情報の段階でやや危惧していたのは、主人公が整形して別人に姿を変えるという部分で、これは近年深夜ドラマが濫発している設定だが成功しているのを観たことがない。まだ主人公のキャラクターが定着していない段階で姿が変わってしまうことに観る側の気持ちが追いつかないのか、あるいはいくら整形技術が進歩したといってもまだ周囲を完全に信じ込ませるまでには至っていないと感じているからか。

いずれにしろこの大がかりな仕掛けがある時点でフィクションのレベルが一気に数段上がってしまうので、その設定を「あり」にするためには、主に状況と感情の両面から視聴者を納得させ、主人公を逃げ場のない状況に追い込んでやる必要がある。

しかしそこはさすが日曜劇場、手抜かりはない。深夜ドラマだとこの初期段階における主人公の追い込みが甘く、「なにも整形までしなくてもいいのでは?」と思ってしまうことが多いのだが、本作では「背に腹は代えられない状況」に追い込まれる条件が次から次へと重なってくるうえにその展開スピードが速く、主人公にも視聴者にも迷っている隙を与えない。

とはいえ、それでもやはり別人に姿形と戸籍を変えるまでの決断ができるかというと、依然として少なからず迷いが残るのがこの設定の難しいところで、この主人公に完全に共感できるかというとまだそこまでには至っていない感触がある。

特に整形=リブート後の主人公(中身は早瀬)がそれなりに明るく振る舞っている様子を見ると、観ていてまだそこまでは開き直れない気持ちになる。この先もしもすべてが上手くいったとしても、最終的には比喩ではなく文字どおりに「子供に合わせる顔がない」ことを考えると、最初にした「リブート」という選択肢が本当に合っていたのかという気持ちも少なからず湧いてくる。あるいは最終的には元の顔に戻す、ということも技術的に可能であると約束されているのかもしれないが……。

復讐劇と裏組織の絡みには『東京リベンジャーズ』に近い雰囲気もあり、謎めいた戸田恵梨香のポジショニングも効いている。そして「名探偵津田」は思いのほかあっさりと……。

店の二階から主人公が逃亡するシーンにしろ、子供と再会したのちに走って逃げるシーンにしろ、さすがに警察側の作戦及び包囲網が甘すぎるように感じる部分はあって、ここを甘めに設定すると『テセウスの船』のようにストーリー全体が緩んでしまう危険性がある。とりあえず1話目に関しては、展開スピードを優先した結果ということなのか。

「先が気になる」という物語の推進力では今期随一の作品であり、内向的で観た感じはほぼ正反対とも言える『冬のなんかさ、春のなんかね』と本作の2本が、今クールは頭二つ三つ抜けているように感じる。


◆『元科捜研の主婦』(テレビ東京/金曜21時/松本まりか主演)

テレ東のドラマ9枠は『能面検事』『コーチ』など近ごろ地味ながら良質な作品が続いていて、本作も堅実にそのクオリティを引き継いでいる印象。

題名にもあるように、元科捜研の職員ではありながら、現在はあくまでも主婦であるという点が重視されており、家族の日常から事件解決のヒントを見出してくるあたりに、その設定がしっかりと生かされている。刑事である夫との協力体制も、同僚とのバディものが主流の昨今の刑事ドラマでは意外と珍しいかもしれない。

派手さはないが、刑事ドラマ好きには毎度安定したクオリティーが望めそうな作品。


◆『DREAM STAGE』(TBS/金曜22時/中村倫也主演)

今期一番の期待はずれというか、そもそも設定の時点で期待していなかったので案の定というべきか。

この金曜ドラマ枠は本来強力であったはずなのだが、近年はらしくないレベルの作品が徐々に増えてきている。

元敏腕プロデューサーがK-POPアイドルグループを育てる物語だが、まず引っかかってしまうのは中村倫也演じる主人公のプロデューサーが、おそろしく前時代的な超パワハラ思考&体質であるという点。

もちろんこの世界が厳しい世界であるのは事実だが、「連帯責任」という言葉を平然と繰り出す人間が、いまどき優秀な指導者と呼ばれることはないだろうし、どんなに有能であったとしてもまず若者たちが着いていかないだろう。いくらなんでも厳しさの表現が古すぎる。

一方で育成される側のアイドル候補生たちも、十把ひと絡げといった感じでキャラクターが薄く、各人に伸びしろを感じさせる個性や特長がいまひとつ見えてこない。顔が良くて歌やダンスが上手いのはこのレベルにおいてはもはや当然のことであって、それ以外の特長が髪の色くらいではプロデュースする側も育てようとは思わないだろう。落ちこぼれ状態からのスタートであるにしても、そのポテンシャルは最初に見せておいてくれないと、そもそもここから何かがはじまるという予感すらしない。

せめてグループとしての目新しいコンセプトがあるとか、どうにかして業界を覆してやろうという強い信念やスタンスがあれば応援したくもなるが、単にありがちな努力を積み重ねるだけならばほかのグループでも誰でも良いということになってしまう。

いま考えると題名の凡庸さが、すでにすべてを表していたような。


◆『50分間の恋人』(ABCテレビテレビ朝日/日曜22時15分/伊野尾慧、松本穂香主演)

このABC「日10」枠も、近ごろは明らかにその質が低下傾向。本作に関しては、ついに安っぽい深夜ドラマレベルにまでなってしまっている。

ライバル会社の人間とつきあったらクビ、というまったくリアリティのない設定にまず驚かされた。しかもその理由は、単に社長同士が元夫婦でいがみあっているという、ごく個人的な怨恨。その時点で両者ともにガバナンスが無茶苦茶であり、それだけで充分にパワハラ案件であるだろう。どうしてもこの設定でやりたいのならば、時代設定を昭和に戻す必要がある。

なぜか社員らが受け容れているその強権的な不文律が足枷となって、ライバル会社に所属する男女が昼休みの50分間だけ一緒にお弁当を食べる関係になる、というのが題名になっているわけだが、この設定も正直わけがわからない。

会社の昼休みとなれば、基本的に社の近所で食事を摂ることになるわけで、そうなれば昼休みに一緒に食事をするなどというのは、もっとも上司や同僚から見つかりやすい状況であるはずだ。しかも外で一緒にお弁当を食べる関係となれば、もはやわざわざ二人の親密さを見せびらかしているようなものである。

普通に考えれば退社後に会社から離れた場所で会うか、なんなら互いの家で過ごしたほうが遙かに見つかる可能性は低いだろう。さすがに設定の脇が甘すぎる。

そのうえで出会った二人の台詞や表情を追ってみても、いまのところ恋愛に発展する予感が乏しく、特にヒロインのほうがゲームプランナーの男を好きになる要素がまったく見当たらない。男のほうにしても、いまのところ彼女の作る弁当の味に惹かれているだけという段階。

そしてそんな状態のまま男がヒロインの唇からはみだしたソースを手で拭ってあげようとすると、彼女が思わずドキッとしてしまうといういかにも少女漫画的な定番シーンがあるのだが、おかげでここなどはリアクションにまったく気持ちが追いついていないように見えてしまう。

この「行動に気持ちが追いついていない」状態はラブコメにおいてもっとも注意すべき問題で、気持ちが高まってから行動なりリアクションなりを起こさないと、まだ心を動かされていない視聴者はその動きに共感できなくなってしまう。

しかしとりあえずアクションさえ起こさせれば気持ちもなんとなく一緒に動いているように見せかけられるものだから、特に感情を描くのが難しかったり面倒だったりする場合には、とりあえずキャラクターにアクションを起こさせてみたりしがち。しかしそうして強引にキャラクターを動かしてしまうと、もちろん順序が逆なので操り人形のようになってしまい気持ちが前に進まない。

ゆえになるべく早い段階で二人の気持ちのつながりを見せておく必要があるのだが、この感じだと終始行動が気持ちに先行する形になりそうで、そうなると恋愛展開に不可欠な、視聴者をやきもきさせる「タメ」を作れない。この順序の違いは、些細なようでいて結構重要な要素であり致命的。


◆『キンパとおにぎり~恋するふたりは似ていてちがう~』(テレビ東京/月曜23時6分/赤楚衛二主演)

日本人男性と韓国人女性による純愛ストーリー。二人の国籍が異なるという部分を除けば、思った以上に徹底してベタを貫いている王道ラブコメという感触。

出会いのシーンから徐々に関係を深めていくその流れは、昭和のドラマや漫画にあったような既視感満載の展開。しかし片方の国籍が異なるというだけで、それをなんとなく許せてしまうのは不思議だが正直なところ。

片言の日本語を耳にすると純粋な人間が一生懸命喋っているように感じてしまうというのは、これはこれで一種の偏見なのかもしれないが、そのおかげでヒロインがかなり積極的な行動に出てもあざとく見えないという「効果」をもたらしているのも事実。

日本の男性はもっともらしい用件が発生するまでは構えてしまって女性に連絡できないが、韓国の男性は特に口実がなくても相手に興味があればすぐに連絡してくるというのは、かなり興味深い日韓の恋愛文化の違いだと思った。このあたりの発見があるのはインターナショナルな設定ならではで、物語中のアクセントになっている。

不意の雨に走り出した二人の先にたまたま廃バスがあったうえに、ちょうどそれを飾るイルミネーションがタイミング良く点灯するなどかなりあざとい演出もあるのだが、二人とも基本のテンションがわりと落ち着いているのでリアリティはギリギリ保たれている。

そこのところのベタさの限界ラインはわりと厳密にコントロールされていそうなので、ラブコメというジャンルが嫌いでなければ純粋に楽しめるであろうストレートな作品。


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