テレビに耳ありラジオに目あり

テレビ/ラジオを自由気ままに楽しむためのレビュー・感想おもちゃ箱、あるいは思考遊戯場

2022年夏ドラマ傾向と対策

傾向と対策というか迎え撃つ準備というか。むろん撃つ必要はないのだが。いわば勝手に心の準備。


【月曜日】
◆『競争の番人』(フジテレビ/月曜21時/坂口健太郎、杏主演/7月11日スタート)
www.fujitv.co.jp

前クールの『元彼の遺言状』と同じく新川帆立原作。それだけ局側の原作者への評価が高いということだろうが、『元彼~』がバラバラのパーツを寄せ集めた統一感のない内容だったことを考えると、少なくともドラマに関してはあまり期待はできないかもしれない。

作品の舞台は公正取引委員会。昨今は刑事、医者、弁護士ものが多い中、それ以外で正義感を発揮できるジャンルを各局模索している感があるが、いよいよここまでニッチなところを突いてきたかという設定。そのぶん、キャッチーさには欠ける。


◆『魔法のリノベ』(フジテレビ/月曜22時/波瑠主演/7月18日スタート)
www.ktv.jp

『家売るオンナ』のヒット以降、不動産関連のドラマもちらほら。前クールでやっていた『正直不動産』も、わりと評判が良かったようで。

今度はそこからまた一本奥へ入った感じで、住居の「リノベーション」を手掛けるという部分にポイントを絞ってきた。

間宮祥太郎は、前々クールの『ファイトソング』と前クールの『ナンバMG5』が素晴らしかったので、自然と期待してしまう。とはいえ、設定の地味さは否めないが。


【火曜日】
◆『ユニコーンに乗って』(TBS/火曜22時/永野芽郁主演/7月5日スタート)
www.tbs.co.jp

どちらかというと日テレ「水10」枠っぽいお仕事ドラマ設定。

主人公が「スタートアップ企業の若き女性CEO」と言われると、いかにも今っぽさど真ん中すぎてむしろリアリティに欠けるような気がするが、その脇に西島秀俊がいるならばなんとかなるような気がしてしまう。『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』で株を上げた杉野遥亮も注目の俳優。

主役が単なるイチ社員ではなく会社のトップであるというところが、仕事に恋にどんな影響をもたらしてくるのか。そこが他との明確な違いを生み出してくれると面白い。


【水曜日】
◆『刑事7人(シーズン8)』(テレビ朝日/水曜21時/東山紀之主演/7月13日スタート)
www.tv-asahi.co.jp

シーズン1時代の、適度に緩くチャーミングな雰囲気はどこへやら。すっかりシリアスな刑事ドラマとして、毎度微妙に編成を変えながら安定したクオリティを保ってきたこの作品も、気づけばすでにシーズン8。

このドラマはシーズンごとに毎度わりと大胆に変更してくる部分があって、長く観ている視聴者も飽きさせない。個人的には好きなシリーズドラマのひとつなので、期待している。


◆『家庭教師のトラコ』(日本テレビ/水曜22時/橋本愛主演/7月20日スタート)
www.ntv.co.jp

過保護のカホコ』『同期のサクラ』と同じ響きを持つ遊川和彦脚本。今回はその二作とは違って高畑充希ではなく、橋本愛が主役というのが大きな違いで、そうなればあの素直で無邪気なキャラクターともだいぶ変わってくるだろう。

今回は設定が家庭教師ということで、同じく家庭に入り込んでいくという意味でも、遊川脚本でいえば『家政婦のミタ』寄りのキャラクターか。キャラの強さにおいては、今期随一の予感が。


◆『テッパチ!』(フジテレビ/水曜22時/町田啓太主演/7月6日スタート)
www.fujitv.co.jp

前クールの『ナンバMG5』で、視聴率はイマイチだが内容的なクオリティと満足度は非常に高いという複雑なデビューを飾ったフジテレビの「水10」枠。

ヤンキーものに続いて陸上自衛隊を持ってくるあたり、枠のコンセプトであるらしい「ニューヒーロー」という軸はまだブレていないようだ。それにしても今どき珍しい「漢」路線。

自衛隊設定といえば瑛太北川景子の『リコカツ』を思い出すが、あれはあくまでも離婚活動=リコカツのほうがメインの作品ではあった。

対して完全に自衛隊をドラマの中心に置いた場合、さすがに窮屈な印象を受けるが、そこからどうやって一般視聴者へ共感の扉を開いていくのか。そこがネックになりそうな雰囲気は漂っている。


【木曜日】
◆『六本木クラス』(テレビ朝日/木曜21時/竹内涼真主演/7月7日スタート)
www.tv-asahi.co.jp

Netflixで世界的に大ヒットしたドラマを、場所を六本木に変えてリメイク。安直すぎて笑いそうになる移植だが、元が元だけにクオリティは保証されていると見ていいだろう。

脇を香川照之が固めているというのも、その重しになるはず。


◆『純愛ディソナンス』(フジテレビ/木曜22時/中島裕翔主演/7月14日スタート)
www.fujitv.co.jp

高校教師と生徒との禁断の愛、となるともちろんかつての『高校教師』を思い出してしまうが、まさにそういう狙いが見える。さらにこの木曜10時の枠で禁断の愛と言えば、『昼顔』の幻影がずっとつきまとっているわけで、その二作の名を挙げれば企画を通す必然性はあるように思える。

だが逆にいえばよくある古典的な設定ではあるため、どこで新しさを出していくのかが難しい。


【金曜日】
◆『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』(TBS/金曜22時/有村架純中村倫也主演/7月8日スタート)
www.tbs.co.jp

「リーガル・エンターテインメント」と言われると、さすがに「またか!」とつい思ってしまうが、今回はスタッフが『MIU404』や『最愛』を手掛けたチームとなれば、自動的に期待せずにはいられない。

だからといって事前にどこをどう期待できるというポイントは特に見あたらないのだが、ダブル主演を務める有村架純中村倫也にハズレが少ない印象はある。

つまりラインナップ的に鉄板、というほかないが、それはかなり信頼できる根底の部分でもある。


◆『NICE FLIGHT!』(テレビ朝日/金曜23時15分/玉森裕太主演/7月22日スタート)
www.tv-asahi.co.jp

パイロットが主役のドラマといえば『GOOD LUCK!!』という金字塔があるが、個人的にはあまりリアリティを感じられない設定のひとつ。

だが公式HPの番組概要を見る限り、パイロットものというよりは恋愛がメインであるようなので、職業に関してはあまり気にしなくてもいいのかもしれない。

玉森裕太中村アンという役者陣は魅力的だが、逆に言えばそこに頼り切った作品であるようにも。


【土曜日】
◆『空白を満たしなさい』(NHK総合/土曜22時/柄本佑主演/6月25日スタート)
www.nhk.jp

すでに一話目が放送されているが、原作が純文学というわりにはミステリー然とした立ち上がり。

かと思いきや、後半になっていかにも純文学的な重さがグッと増してくる。阿部サダヲの怖さが際立つ。

かなり暗く思い作風なので観る人を選ぶとは思うが、この先が気になるのは確か。


◆『初恋の悪魔』(日本テレビ/土曜22時/林遣都、仲野太賀主演/7月16日スタート)
www.ntv.co.jp

『カルテット』の坂元裕二が書く刑事ドラマ、という時点で話題性は充分か。そのうえで題名には恋愛要素が入り、公式では「ミステリアスコメディー」と紹介されている。

つまりベタな「刑事ドラマ」というジャンルに、あらゆる要素を持ち込んでその領域拡大を図ってやろうという野心が見える。メインキャストはやはり4人であるらしく、脚本家のカルテット編成へのこだわりも見える。

個人的には『カルテット』は色々やろうとした結果散漫な印象で、坂元裕二作品であれば『最高の離婚』や『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』のほうが面白いと思っているが、今回はどのような作風で来るのか。

「刑事ドラマ」という古典的ジャンルに風穴を開けるような作品を期待したい。


【日曜日】
◆『オールドルーキー』(TBS/日曜21時/綾野剛主演/6月26日スタート)
www.tbs.co.jp

「引退したアスリートの第二の人生」というテーマは、同じく福田靖が脚本を手掛けた前クールの『未来への10カウント』と共通している。脚本家の中で、いま考え続けているテーマなのだろう。

ただし局が違うとはいえ、二期連続となると似たようなパターンに陥るのではないかという危惧はある。

すでに一話目が放送されており、とりあえずその前半部分を観たが、いまのところちょっとありがちで安っぽい展開であることは否めない。

それは全体としては楽しめた『未来への10カウント』でも少なからず感じていた部分だが、どうも意図的に漫画的なベタをやっているようにも感じられる。『HERO』を書いていたころの福田靖に比べると、脚本にだいぶ照れがなく臭みがある。

――と思って調べてみたら、『HERO』はもう20年前の作品。だとすれば、すでに比較対象とはならないかもしれない。とはいえ「日曜劇場」なので、クオリティは伴ってくるはず。


◆『新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~』(日本テレビ/日曜22時30分/永瀬廉主演/7月24日スタート)
www.ytv.co.jp

「もしも戦国武将たちがクラスメイトだったら」という、いかにも漫画的なフィクション設定。この時点でだいぶチープな印象を受けるが、基本はヤンキー学園ものと考えるべきなのか。

この枠は『あなたの番です』や『真犯人フラグ』といった考察系ミステリーを2クールに渡ってやったり、かと思えばこういう若者向け(?)な漫画原作のドラマを繰り出してきたり、わりと節操がない。

個人的には前者のほうが楽しめるのだが、ひとりの戦国武将好きとしては、これもまた楽しめるのか、むしろ武将好きだからこそ変にイジッてほしくないと感じるのか、微妙なところではある。


【今期の個人的注目作】

◎『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』
 『MIU404』『最愛』チームへの信頼の厚さゆえ。
 

○『初恋の悪魔』
 脚本の力を信じて。ただしあまり『カルテット』的でないことを願う。
 
○『刑事7人(シーズン8)』
 また全編を一本の長編としてダイナミックに構成してくるのか。一話完結に戻るのか。何かしらのテコ入れにも期待。

△『家庭教師のトラコ』
 『カホコ』と『サクラ』は楽しめたが、女優が変わると全体がどう変わるのか。

2022年4月期春ドラマ序盤レビュー

春ドラマ開始前に書いたこちらの記事への、アンサーというか説明責任というかとりあえずの答えあわせというか。今期の各ドラマに関する寸評を書いてみたい。

ちなみに今回は特に、予想も期待も大きくはずれている。脚本家を信頼しすぎたせいかもしれない。

radiotv.hatenablog.com

とりあえず現在の視聴状況に合わせて、【視聴継続中】【HDD蓄積中】【挫折】の三段階評価(?)をつけてみた。【HDD蓄積中】に関しては、録画がどんどん溜まっていって、この先続きを観るかもしれないし、観ないままやがて消してしまうかもしれないし、という状態。


【月曜日】
◆『元彼の遺言状』(フジテレビ/月曜21時/綾瀬はるか主演)【HDD蓄積中】
意味深な遺言状の謎をばら撒くだけばら撒きまくった初回。それを最終話にかけてじっくり解明していくのかと思いきや、その展開は2話目であっさりお開き。3話目からは普通の地味な「町弁」ものになってしまった。

前クールの『ミステリと言う勿れ』で味を占めたのか、初速を高めるために序盤に大きな展開を持って来ておいて、あとは地味な話をマイペースにやるという竜頭蛇尾な手法。

序盤にいったん摑んでしまえば、視聴者は惰性で観続けてくれるだろうという甘えは明らか。いわば吉野屋作戦。


◆『恋なんて、本気でやってどうするの?』(フジテレビ/月曜22時/広瀬アリス主演)【視聴継続中】
古典的な少女漫画的設定で、正直なところ主役の恋愛自体にそこまで物語を牽引する力は感じないが、「男女六人計三組による三者三様の恋愛」という合わせ技で見続けている感じ。

特に意味ありげな藤木直人の正体は気になるところ。


【火曜日】
◆『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』(TBS/火曜22時/上野樹里主演)【視聴継続中】
ここも主役というよりは、父親の松重豊井川遥の恋愛のほうが気になる。

主人公の恋愛に関しては、いつどこで恋愛感情にスイッチが入ったのかがわかりづらく、視聴者の感情がやや置いてけぼりを喰らう印象。

親子が互いの恋愛をどうサポートしあっていくのか(時に邪魔になったりもしながら)というのが、今後の見どころかもしれない。


【水曜日】
◆『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』(日本テレビ/水曜22時/今田美桜主演)【挫折】
30年前のリメイク作ということで、古さを懸念していたがやはり古かった。設定はアップデートしていても、やはりキャラクターが古い。

脳天気な主人公に悩みがなさすぎて、ついていけず2話目で挫折。トラブルに遭遇しても苦悩しないので、物語の中心にあるべき葛藤というものが存在しない。この人はわざわざ見守っていなくとも、放っておけばどこでも誰とでも上手くやっていくだろう、という気になってしまった。


◆『ナンバMG5』(フジテレビ/水曜22時/間宮祥太朗主演)【視聴継続中】
ヤンキーものはむしろ苦手な部類だが、細部まで気が利いていて面白く、コメディとしてよくできている。個人的には、今期イチの掘り出しもの。

配役も見事にハマッており、ストーリーも喜怒哀楽全方位に充実している。

二話目の放送延期でやや躓いた感はあるが、このクオリティは信頼に値するだろう。


【木曜日】
◆『未来への10カウント』(テレビ朝日/木曜22時/木村拓哉主演)【視聴継続中】
オーソドックスな学園ドラマであり、やや強引な展開も見られるが、木村拓哉の存在感でねじ伏せられてしまう。特に今回は、プレイヤーではなくコーチという一歩引いたスタンスであるからこそ、その存在が全体の中で際立って見える。

彼のドラマが始まるたびに、「いつものキムタク」と揶揄する声も聞かれるが、それは物事をあまりに大雑把に捉えすぎなのではないかと思う。黙ってそこに居るだけでもモテてしまう「あの日のキムタク」の姿は、ここにはない。

もちろん、最終的に主役にもっとも美味しいところが還元される構造になっているのは、どんな作品でも当然の話で、でなければその人を主役とは呼ばない。

脇を固める満島ひかり生瀬勝久のコメディ的な間の良さも存分に発揮されており、笑える会話も多い。滝沢カレンの演技が自然なのにも驚いた。今期1、2を争う楽しみなドラマになっている。


◆『やんごとなき一族』(フジテレビ/木曜22時/土屋太鳳主演)【視聴継続中】
極端ではあるがベタなシンデレラストーリーではあり、感情移入が難しいかと思ったが、意外と楽しみながら観ている。

それは設定的に悪役の分量が多く、かつそれぞれが遠慮なく嫌な奴として描かれているからで、とにかく主役が正しいと思うことさえ貫けば、どこと当たっても自ずから爽快な逆転劇が生じる構図になっている。


【金曜日】
◆『インビジブル』(TBS/金曜22時/高橋一生主演)【HDD蓄積中】
観続けるべきか悩んでいる。

どうも柴咲コウの役どころに、リアリティを感じられないというのが大きい。裏社会を牛耳る「犯罪コーディネーター」として一目置かれている存在には、どうにも見えないからだ。

その危険かつ微妙な立場を貫くには、とんでもない人望、才能、スキル、経歴、非情さ等が必要であるに違いない。それらを含めての、圧倒的威圧感が求められる。

あえてそういうものを感じさせないのが、逆に非凡さを感じさせるという漫画的なキャラクター造形なのだろう。だが命がけで本能的に生きている人たちを前に、そんなひねりは通用しないだろうと思ってしまう。

人は追い込まれれば追い込まれるほど、古典的な基準で人を判断するものだから。


◆『家政婦のミタゾノ5』(テレビ朝日/金曜23時15分/松岡昌宏主演)【視聴継続中】
大好きな作品なのだが、シーズン5ともなると、さすがにネタ切れ感は否めない。

既視感のある展開が多く、観ていて意外性を感じづらくなってきているのは間違いない。少年漫画であれば、強力なライバルキャラでも登場させたいところ。

まだ期待を捨てきれないので、観続けるつもりではあるが……。


【土曜日】
◆『パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~』(日本テレビ/土曜22時00分/ディーン・フジオカ主演)【挫折】
「科学捜査」という部分を打ち出したいのはわかるが、そこに頼りすぎて、肝心の人間ドラマの部分がおろそかになっている印象。

不思議な事件が起きているはずなのに、その裏にある人間たちの心の動きが単純化されすぎているので、いまいち興味を惹かれなかった。


◆『クロステイル〜探偵教室〜』(フジテレビ系列/土曜23時40分/鈴鹿央士主演)【挫折】
脚本家に期待しすぎたかもしれない。イチ推し予想したにもかかわらず、2話目で早々に挫折(気持ち的には1話目の最中にはすでに)。

思いのほかちゃんとした探偵術を学ぶ内容で、ミステリ的な緊張感も、コメディ要素も乏しい。

東海テレビ枠は、やはり当たりはずれが激しい。


【日曜日】
◆『マイファミリー』(TBS/日曜21時00分/二宮和也主演)【視聴継続中】
解決策にかなり強引な部分も多々あるが、物語の緊張感は持続している。「考察」を誘発するような、いまっぽい作りのドラマである。

とはいえ、『真犯人フラグ』などに比べると、考察すべき要素はさほど多くはないので、それだけを期待するとやや淡泊に感じるかもしれない。そのぶんは日曜劇場らしい、人間ドラマの部分で補っていくことになるのだろう。

とりあえず今期で一番、先が気になるドラマではある。


◆『金田一少年の事件簿』(日本テレビ/日曜22時30分/道枝駿佑主演)【挫折】
アニメでやっていたころはそこそこ観ていたが、こうして学園ドラマとしての部分を強調されると、やはり人が多数死んでいるにもかかわらず、彼らが平然と学校に通えていることに違和感を感じてしまい、1話目で挫折。

2022年4月期春ドラマの傾向と対策

自分が何を観るのかを探る指針にもなるので、久々にドラマ総ざらえ的なエントリを。といっても一部クオリティの怪しい深夜ドラマや、あまり興味の持てないものは挙げていない。

それにしたってある種の「傾向」は見えるかもしれないが、いったい何を「対策」するというのか。「対策」というよりは「事前の構え」というか「心の準備」というかなんというか。ただなんとなく「傾向」と言えば「対策」と続けたくなる受験脳。

ちなみに、ここで面白いと予想したものが全然つまらなかったり、つまらないと予想したものが案外面白かったりということもよくある。じゃあ役に立たないじゃないか、と言われればそのとおり。どうも預言者にはなれないらしい。

なので僕もそうしているが、どんな作品であれ、とりあえず一話目を観てから判断することをおすすめする。

――なんて書いているうちに大きな地震と停電に見舞われて。先の見えぬ停電から復旧した直後に、こうして続きを書いている。戦争やらコロナやらいろいろあるが、心置きなくドラマが楽しめる日常を願いつつ。


【月曜日】
◆『元彼の遺言状』(フジテレビ/月曜21時/綾瀬はるか主演/4月11日スタート)
www.fujitv.co.jp

それにしても弁護士もの多いな、去年も『イチケイのカラス』やってたし、と思って振り返って見ると、あちらは裁判官でこちらは弁護士。ちなみにキムタクの『HERO』は検事。

とはいえメインとなる舞台は同じく裁判所や事務所であり、設定としては近似値に見える。だとしたら、『HERO』や『リーガル・ハイ』に勝てるかどうか。そういう勝負になってくる。見る側のハードルも自動的に上がる。

原作をつけてまでやるのなら、もう少し見慣れない設定のを引っ張ってきてほしい、というのが正直なところ。

見どころは共演の大泉洋だろうか。それはこの作品に限ったことではないけれど。

全体として、わりと保守的な印象。


◆『恋なんて、本気でやってどうするの?』(フジテレビ/月曜22時/広瀬アリス主演/4月18日スタート)
www.ktv.jp

男女6人恋物語、という設定。となるとオーソドックスなラブコメになりそうだが、気になるのは各キャラクターがそれぞれにいまどきの、恋愛に対して消極的なスタンスを取っているっぽいところ。

物語をドラマティックに動かすためには普通、男女どちらかに積極性が必要になるが、そこを欠いた中でどのような展開を見せるのか。

もしそれが可能であれば、ある種奥手と言われる現代ならではの恋愛劇の、新たな雛形になるかもしれない。もちろん消極性が仇となって、全体として地味な印象に終わる可能性もあるだろう。


【火曜日】
◆『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』(TBS/火曜22時/上野樹里主演/4月19日スタート)
www.tbs.co.jp

テーマは父娘のダブル婚活。娘役の上野樹里がヨガインストラクターで、父役の松重豊が辞書編纂者というあたり、まずは設定の隅々に至るまでニッチなところを狙っている(狙いすぎている?)印象。

いかにもいまっぽさを狙ったタイトルをつけておきながら、そのあとに「~父と娘の結婚行進曲~」という補足説明をつけてしまっているのは、ちょっと弱気で自信なさげに見える。ここはかなり迷ったはずで、内容を伝えるには必要という意見もわかるが、これをつけ足したことで一気に古い感触に。

そう考えてみると『半沢直樹』って題名はやっぱり凄いなと、改めて思う。何も説明できていないのに、あれだけ多くの人が見たのだから。

同じく吉澤智子が脚本を手掛けた『あなたのことはそれほど』は絶妙に怖くて面白かったが、今回はわりとほのぼのとしてそうに見えるので、あれを期待するわけにもいかないか。父と娘設定という意味では、『パパとなっちゃん』という名作を思い起こさせる部分も。


【水曜日】
◆『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』(日本テレビ/水曜22時/今田美桜主演/4月13日スタート)
www.ntv.co.jp

働く女性をターゲットにした日テレ水10枠らしいといえばらしい内容。

しかし前クールの『ムチャブリ! わたしが社長になるなんて』にも通じる安っぽい雰囲気を感じるあたり、ちょっと嫌な予感が…。

30年前にドラマ化された作品のリメイク作とのことで、この30年間における女性を巡る職場環境の変化がどのように反映されているのか、といったあたりも気になるが、はたしてその内容を上手いことアップデートできるのかどうか。

今田美桜の黒髪おかっぱ姿に違和感がありすぎて、すでにギャグ漫画に見えてしまっているのも不安要素…。


◆『ナンバMG5』(フジテレビ/水曜22時/間宮祥太朗主演/4月13日スタート)
www.fujitv.co.jp

今シーズンから増設された「水10ドラマ」枠の第一弾は、脱ヤンキーを目指すヤンキードラマ。明らかに『東京リベンジャーズ』の大ヒットを受けて、という狙いが透けて見えるタイミング。

昨年秋の日テレドラマ『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール』は良質な作品だったが、あれはあくまでも白杖ガールのほうがメインだったから、純粋なヤンキードラマとは言えないかもしれない。

いまや絶滅危惧種とも言える「ヤンキー」という存在が、ちょうどいい距離感で古典的かつファンタジックな魅力を放ちはじめているということなのか、単にそれを題材としたいくつかの作品のクオリティがたまたま高かったというだけなのか。

このへんのドラマまでヒットしてくると、いよいよ本格的なヤンキーブーム到来ということになるのかもしれない。特にそれを望んではいないが。

踊る大捜査線』の本広克行が演出を務めるというのも、ひとつの注目ポイントか。


【木曜日】
◆『未来への10カウント』(テレビ朝日/木曜22時/木村拓哉主演/4月14日スタート)
www.tv-asahi.co.jp

木村拓哉主演×福田靖脚本という『HERO』のタッグがテレ朝で実現。

となれば当然のように期待は高まるが、肝心のキムタクの役どころが「ボクシング部のコーチ」であり、「学園スポーツドラマ」だと言われてしまうと、その期待はかなり減退する。

これもヤンキーブームの一環なのかなんなのか、どうも熱血ドラマが増えてきているような気がしないでもない。これもコロナの時代の閉塞感を、代わりになんとか打破してほしいという巷間のニーズを感じてのことなのだろうか。


◆『やんごとなき一族』(フジテレビ/木曜22時/土屋太鳳主演/4月14日スタート)
www.fujitv.co.jp

華麗なる一族に嫁いだ一般庶民の奮戦記。いわゆる「格差婚」の最大値というか。

共演の松下洸平は、『最愛』の好演によりいまもっとも脂が乗っている俳優のひとりだろう。

問題はこの現実離れした設定のどこに、視聴者がリアリティを見出せるのかという点。一話目で、その取っ掛かりを見つけられるといいのだが。


【金曜日】
◆『インビジブル』(TBS/金曜22時/高橋一生主演/4月?日スタート)
www.tbs.co.jp

「刑事×犯罪コーディネーター」という構図は、いま深夜に放送されている『ケイ×ヤク―あぶない相棒―』を彷彿とさせるが、あえて天敵とバディを組むというのが、ひとつの流行になってきているのか。

昨今、飽和状態にある刑事ドラマからどう芯をズラして見せるかといった試みが多くおこなわれているが、これもその一貫だろう。たしかに、わかりやすい化学反応の公式ではある。

そこに主演が高橋一生となれば、どうしても『天国と地獄~サイコな2人~』を思い出す。

脚本担当のいずみ吉紘がかつて手掛けたドラマ『クロコーチ』は、原作漫画が存在するとはいえスリリングな作品であったので、サスペンスを生み出すその手腕に期待が高まる。


◆『家政婦のミタゾノ5』(テレビ朝日/金曜23時15分/松岡昌宏主演/4月22日スタート)
www.tv-asahi.co.jp

個人的に大好きなドラマなので、また帰ってきてくれたことが嬉しい。

とはいえ、前シーズンあたりはさすがにやや失速感もあったので、なにかしら新要素や新展開が欲しいタイミングでもある。そもそも一筋縄ではいかない作品なので、何かやってくれると期待している。

このドラマの魅力に関しては、以前書いたこちらのレビューを是非。

radiotv.hatenablog.com


【土曜日】
◆『パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~』(日本テレビ/土曜22時00分/ディーン・フジオカ主演/4月23日スタート)
www.ntv.co.jp

こちらも「警察官僚×天才科学者」という、刑事ドラマの芯を少しズラした組み合わせ。

いまどき科学捜査は通常の刑事ドラマにも普通に入ってくるので、それ以上の、もう一段階上の科学の使いかたという引き出しがあるのならば、他の刑事ものとの違いを生み出せる可能性はある。

この土曜10時枠自体、かなりはずれが続いている印象があったが、いまやっている『逃亡医F』は意外と面白いので油断は禁物。


◆『クロステイル〜探偵教室〜』(フジテレビ系列/土曜23時40分/鈴鹿央士主演/4月9日スタート)
www.tokai-tv.com

この東海テレビ制作「オトナの土ドラ」枠は毎度当たりはずれが激しいが、チャレンジングであるとも言える。今クールの『おいハンサム!!』が意外にも面白かったので、次もついまた期待してしまう。

しかも今作の脚本は、『半沢直樹』から『家政婦のミタゾノ』まで書き分ける八津弘幸。そのわりには題名が普通っぽすぎるのが気がかりではあるが、なにかしら面白くしてくれるはず。


◆『マイファミリー』(TBS/日曜21時00分/二宮和也主演/4月?日スタート)
www.tbs.co.jp

誘拐事件が軸にあるドラマでありながら、サスペンスでもミステリーでもなく「ファミリーエンターテインメント」だと謳っているのが興味深い。

脚本家は『グランメゾン東京』『危険なビーナス』など、すでにこの日曜劇場枠でも実績充分の黒岩勉。個人的にはむしろサスペンスやミステリーのほうを期待してしまうが、誘拐からどう家族を描き出してくるのかに注目。


◆『金田一少年の事件簿』(日本テレビ/日曜22時30分/道枝駿佑主演/4月24日スタート)
www.ntv.co.jp

どうしてもいまさら感が強いが、すでに漫画やアニメでクオリティは証明されているので、あとはドラマなりの新鮮味をいかに出してくるのか、というくらいか。

とはいえ、わざわざドラマで観なくても、という気がついしてしまうのは否めないが…。


【今期の個人的注目作】

◎『クロステイル〜探偵教室〜』
 八津弘幸のオリジナル脚本に期待。
 

○『インビジブル
 高橋一生とサスペンスの相性の良さ。
 
○『家政婦のミタゾノ5』
 今期は個人的に、どうにも八津弘幸シフト。

△『恋なんて、本気でやってどうするの?』
 ラブコメが稀少な今期。ありがちなラブコメをアップデートできるか。