とりあえず第1~2話が終了したタイミングで、面白かった/続きが気になる作品を5本に絞ってみた。
より詳細な感想に関しては、リンクを貼った各1話目のレビューにて。
1位『冬のなんかさ、春のなんかね』(日本テレビ/水曜22時/杉咲花主演)
開始早々、早くもその単館映画を思わせる会話劇が、ドラマファンのあいだで賛否を巻き起こしている話題作であり問題作。
人の心の襞に分け入っていくようなこの微に入り細を穿つ丹念な会話を、「繊細で思いやりがある」と取るか「図々しく無神経」と取るかで評価は真っ二つに分かれるだろう。
実のところ正解は「どっちも」であり、話し相手の解釈によって性格が真逆に捉えられてしまうことも、同じ会話が良いほうにも悪いほうにも誤解され得る危うい可能性を常に孕んでいることも、いずれも非常にリアルであると感じる。
質問を多投する杉咲花演じるヒロインのスタンスに、「子供のような純粋さと相手に寄り添うやさしさ」を感じるのも、「痛いところを針で刺すようなあざとい小悪魔」を感じるのもやはり両方とも事実で、こういった二律背反とも言える複雑な要素を同時に表現しようとする貪欲なアプローチこそが、まさにこの作品の面白さであり存在意義であるだろう。
この安易な答えを許さない、質問がさらに次の質問を呼び込むような粘り強い会話姿勢は、何かと言えばすぐに最短距離の正解ばかりを求める現代への的確な批評にもなっている。
今後この作風を真似する作品が続々と現れる(そして実際に真似するのは恐ろしく難しい)であろう、おそらくは日本ドラマ界における転換点のひとつになるように思われる。
2位『リブート』(TBS/日曜21時/鈴木亮平主演)
初回から息をもつかせぬ怒濤の展開。
「整形=リブートによって別人になりすます」という設定はかなりリアリティ面におけるハードルが高いが、主人公の選択肢を次々と容赦なく奪っていくことにより、「そうせざるを得ない」状況へとグイグイ追い込んでいく。
フィクション度合いが高く下手をすると安っぽくなりがちな設定を、日曜劇場ならではの重厚感と展開力の高い脚本、そして実力派俳優陣の演技力によってスリリングに成立させている。
警察に追われる場面など、もう少し時間をかけてジリジリと多い込んでほしいと思われるシーンもあるが、おかげで展開のスピード感が損なわれていないとも言える。
謎が謎を呼ぶ考察要素も多分に含まれており、とにかく続きが気になる推進力の高い作品。
3位『再会~Silent Truth~』(テレビ朝日/火曜21時/竹内涼真主演)
前クールの『良いこと悪いこと』やかつての名作『最愛』と同様、過去に起こした事件と現在の事件が奇妙につながっていく「四次元展開」ミステリー。
1話目の時点ではまだ判明している事件の詳細や人間関係にまつわる情報量が少なく、昨今のドラマにしてはやや立ち上がりが悠長な印象ではあるが、この先尻上がりに状況が拡大し展開していくものと思われる。
そうなるといったいどのタイミングで本格的に謎めいた過去と現在をつなぐスイッチが入るのか、ここからの展開に期待が膨らむ。
2026年冬ドラマ第1話感想/レビュー第3弾(1月スタート作)~『再会~Silent Truth~』『東京P.D. 警視庁広報2係』『未来のムスコ』 - テレビに耳ありラジオに目あり
4位『探偵さん、リュック開いてますよ』(テレビ朝日/金曜23時15分/松田龍平主演)
明らかに他の作品とは一線を画する、異質な世界観と空気感。
松田龍平演じる探偵兼発明家の飄々としたキャラクター、そこへ持ち込まれる取るに足らぬ依頼内容、温泉街というのどかなシチュエーション、そこでの主たる移動手段(人の愚痴を原動力に走るキックボード)、手作りの発明品の数々……とにかくあらゆるドラマティックになり得る要素をすべて脱臼させたような、ユートピアだかディストピアだかわからない状況で起こる些細な出来事になぜか癒やされるという不思議。
1話目の解決手段はやや反則気味であったが、発明品の使いかたの底が抜けている2話目はまさにこの作品の真骨頂であると感じた。
生きかたのトーンが合う人には、もしくはせっかちな現実に嫌気が差している人には癖になるであろう作品。
5位『令和に官能小説作ってます』(テレビ大阪/水曜24時/徳井義実(チュートリアル)、桃月なしこ主演)
タイトル通りの官能小説編集部というニッチな舞台設定にばかり目が行きがちだが、深夜ドラマの30分枠という限られた時間の中に、喜怒哀楽様々な感情がギュッと詰め込まれている密度の高い作品。
濃密な用語が飛び交う大喜利のような題名会議があり、希望外の部署に配属された主人公が仕事にやりがいを見つけていく成長譚があり、それをサポートする編集長および編集部員らとの人間関係があり、またタッグを組む作家にもまたそれぞれの物語がある。
シリアスとコメディのバランスが絶妙で、毎度楽しみながらも、ふと心に大切な何かが残る。

