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『OMOJAN』2012/6/12放送回~短く、太りすぎた企画~

毎回不完全燃焼の番組。その原因は挙げればキリがない。

番組の時間が正味20分しかない。5枠のうち2枠が宣伝目的の、笑いセンスのかけらもない人に与えられる。そもそもいらない審査員の、的外れな褒め言葉。司会の三田アナの、進行することしか考えていない視野狭窄。番組の内容以上に、コンテンツの多角的展開に力を入れる姿勢。企画が、太りすぎている。

と、基本的には番組の内容と言うよりは、制作者サイドの妙な欲深さが目立つ。純粋なお笑いファン以外の客層を取り込もうという策があまりにあざとく、全体のクオリティを著しく下げているという点は、やはり最近の『すべらない話』と完全に共通している。「ハードルを下げる」といえば聞こえはいいが、「ハードルを下げる」と実際には「競技自体がつまらなくなる」ことが多い。

そんなあざとさの森をくぐり抜けて内容を観れば、これは「言葉の組み合わせ」を楽しむ番組ではなく、「行間のストーリーをでっちあげて楽しむ」番組である。

実際、言葉の組み合わせ自体が面白い場合は、それほど話が盛り上がらない。それよりも、言葉と言葉のかみ合わせが不完全で、その合間をその後のトークで無理に埋め合わせするプロセスこそが、この形式の面白さである。その点さまぁ~ずの二人は、意味ありげな行間の作り方と、トークの付け足しで辻褄を合わせる力業において飛び抜けている。

とはいえもはや言葉の組み合わせパターンも限界に来ている印象があって、とにかくフォロートークで何とかするという状態になってきている。たぶん演者も、この形式にはもう飽きてきているのではないか。

逆に言えば、今や「実質20分間だから観られる番組」になってきていて、たぶんこれ以上続けられると観る方も厳しい。時間の短さは消化不良の要因でもあるが、それ以上の量を毎週食べると胃にもたれてしまうという現状もある。これはやはり単発向きの番組だろう。読み切り短編向きの設定で長期連載を狙っているような、そんなちぐはぐな感触がある。

まずは単発放送の頃の、ミニマムで混じりっけのない純粋な状態に戻ることを望む。ゲストも審査員も周辺企画もいらない。しかしいったん太った番組をダイエットさせるのは、人間の身体同様に難しい。

【『OMOJAN』HP】

http://www.fujitv.co.jp/omojan/