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『バカリズム御一考様』2013/4/2放送回~単調さをどう乗り越えるのかを観たい~

バカリズム冠番組のレギュラー放送は、事前特番の流れそのままにこぢんまりとしたスタート。どうやら大喜利好きにとっては、意外性というよりは安心感を得るために観る番組。

今回の企画は「ますとり」という、字数制限のある大喜利の一本のみ。お題も芸人の一人がその場で出して、それに対し芸人みんなで答えるという、ちょっとしたアドリブ感のあるセルフプロデューススタイル。こうして改めて30分番組として観ると、『フットンダ』が大喜利番組としていかにバランス良く入念に作られているかがよくわかる。

バカリズムロバート秋山、ずん飯尾、麒麟川島というラインナップに、平愛梨をゲストに迎えるという布陣は、一見あたり前のように見えるが、ちょっと平愛梨の実力を甘く見積もったかもしれない。苦戦しつつ一問目の大喜利を終えた芸人たちに対し、「こうやって遊ぶんですね~」と笑顔で言い放つ彼女の天然っぷりが、終始観る側にすべての解答を忘れさせる。

おそらくそういう想定ではないのだろうが、結果的にすべてのオチを平愛梨が持っていくという構図になってしまい、それはそれで面白いのだが、そのせいかどうか、どうも芸人のモチベーションが上がらないまま終わってしまったような物足りなさを感じる。それでも何問かはダイジェストですっ飛ばされていたから、編集してレベルを保つ作業は行われているのだが、芸人全体の解答の方向性も思いの外かぶってしまっている感じで、わりとあっさり終わってしまった印象。

たとえば『フットンダ』の場合であれば、30分番組の中でもお題設定の切り替わりが3~4回あり、それがプレイヤーたちの頭の切り替えを促すと同時に、視聴者の飽きが来ないような作りになっている。大喜利というのは、見かけ的には単調なクイズのようなものなので、やはり同じスタイルで続けていくと表面的に飽きるというのはある。

もちろんその中から、単調な答えではなくその行間や背後に見え隠れする思考プロセスを楽しむのが大喜利の楽しみ方であり、これはそういう人向けに作っている番組だとは思うのだが、観ているほうはわがままなもので、常にそれ以上の何かを期待してしまうのも事実。そういう意味で今回は、「それ以上の何か=平愛梨の天然っぷり」だったわけだけど、本当は芸人同士の関係性の中からそういうプラスアルファの要素が生まれてきてくれるのが理想であるはずで、しかしやはり2ヶ月間の限定放送となると、そういうものが出てこないまま終わってしまいそうな予感がほらひしひしと。