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『27時間テレビ』でタモリを熱くさせるのは誰だ?~『プレタモリ』2012/7/17放送~

今のタモリに必要なのは、刺激だけなのかもしれない。その実力も感性も、まだまだ鈍ってはいない。しかしその刺激の供給源は、いったいどこにあるのか? 今回の『27時間テレビ』は、おそらくそこが最大の見どころになるだろう。そう予感させる事前番組だった。

この特番は、タモリが『27時間テレビ』で絡む相手となる芸人やタレントに、あらかじめ挨拶にいくという内容。それだけのことなので、特に盛り上がりがあるというわけではない。とはいえ、くりぃむしちゅーとんねるずダウンタウンらとの絡みは意外に新鮮で、それぞれとの微妙な距離感に意味を読み取る楽しみがあった。

くりぃむしちゅーにとってタモリは、最初のブレイクのきっかけとなった『ボキャブラ天国』の司会者であり、とんねるずにとってのタモリは、『お笑いスター誕生!!』において最も自らを高く評価してくれた審査員だった。そしてダウンタウンには、騒ぎすぎる『笑っていいとも』の客が気に入らずレギュラーを降りたという微妙な経緯がある。

そういう過去の経緯が、どこまで今の関係に影響するのかは正直わからない。しかしこの日のとんねるずタモリへの心酔ぶりは予想以上で、タモリのネタをやたらと細かく覚えていてフリまくる石橋貴明の目は、スターに会った子供のように輝いていた。とんねるずタモリの絡みは、『27時間テレビ』の大きな注目ポイントになるだろう。

ネプチューンにとってもタモリは『ボキャブラ』の司会者だが、タモリとホリケンが実はコメディアンとして意外と近い属性を持っているという点も、タモリにとって何らかの刺激になるのではないかという予感がしている。ホリケンの唐突さにひるまず、むしろさらに唐突に返すタモリの姿が観たい。無意味の応酬。

しかし実はこの日タモリが最も喜んでかまっていたのはインパルスの堤下で、何の脈絡もなく堤下のデブいじりを、小学生のように繰り返していた。堤下が律儀に毎度微妙に違う怒りかたで返してくるのがお気に入りらしく、このまったく意味のないことを性懲りもなく繰り返すスタンスは、タモリの真骨頂でもある。考えてみればタモリほど無茶ぶりによって鍛えられてきた芸人もいないわけで、山下洋輔赤塚不二夫らの無茶なリクエストに応える形で彼の芸は作られてきた。そう考えていくと、堤下をはじめ、タモリが誰に無茶ぶりを仕掛けて鍛えていくのか、という楽しみもある。

27時間テレビ』の全体に弛緩した空気の中で、どこにピークが訪れるのか。普通に考えればさんま、たけし、タモリのビッグ3の共演(たけしは来る、何かに乗ってきっと来る!)ということになるだろうが、タモリが意外な若手に面白味を見出して食いつく可能性も充分にある。今回の『27時間テレビ』は、タモリが誰を刺激して、誰がタモリを刺激するのか、そこに注目して観ると面白いと思う。