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寝耳に日刊ラジオレビュー 2021年10月2日(土)号~三四郎の幻惑~

土曜ラジオ

【聴いた番組】

三四郎オールナイトニッポン0』(ニッポン放送

宮下草薙の15分』(文化放送

この日は『キングオブコント』を観るのとそれについて書くのとで、あまりラジオは聴けず。『踊り場』リスナーとして、空気階段の優勝は嬉しい限り。

こういう時間のない日にはやはり、優先順位の高いものと短いものを聴くことになる。そうなるとやはり週末の最優先は『三四郎ANN0』。

この番組は金曜の夜に聴きながら途中で寝落ちして、土曜に改めて最初から聴き直すパターンが多い。だが今回はそれどころではなく、聴き直している途中で何度か前に戻ってまた聴き直したりもした。他の番組をほぼ聴けなかったのは、あるいは『KOC』ではなくそのせいかもしれない。

なぜそんなことになったかといえば、いつも突拍子のない展開で魅了してくれるこの番組のフリートークが、いつも以上にトリッキーな展開を見せたから。

今回は番組前半で小宮がふと口にした嘘を、リスナーも含めて相田以外の全員で情報を持ち寄ることで、無理矢理補強して丸め込んでいくという伏線回収の嵐。だがこの小宮が口にした嘘が曲者で、どういう流れで出たものかが途中でたびたびわからなくなる。

あるいはそうなっていたのは僕だけかもしれないのだが、逆に言えばそれだけたいしたことのない、伏線にもならない程度の発言が、思いがけず後半の鍵を握ることになる。だから前半のどうでもいいような嘘すら、ひとつも聴き逃すことができない。出所を改めて確認しにいく必要がある。

これはいったいどういう形のエンターテインメントなのか。まるで不条理な純文学や、デヴィッド・リンチの映画を観ているかのような感覚にたびたび陥る。

ひとつの嘘をきっかけに2時間駆け抜けてしまうのも凄いが、その嘘という素材がどれもほんのちっぽけなガラクタ程度の嘘にすぎないのがもっと凄い。この手法を駆使できるならば、どんなに小さな種でも面白くできそうな気がする。まさに錬金術のような嘘とでも言うべきか。

この不可解な面白さを、どう人に伝えれば伝わるのかわからない。だが面白いことだけは間違いない。そういう輪郭のない面白さに、幻惑される楽しみ。