寝耳に日刊ラジオレビュー 2021年9月25日(土)号~「眠くなる話」という新境地~
【聴いた番組】
『さらば青春の光がTaダ、Baカ、Saワギ』(TBSラジオ)
『三四郎のオールナイトニッポン0』(ニッポン放送)
『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)
『ハライチのターン』(TBSラジオ)
『シソンヌの“ばばあの罠”』(RKBラジオ)
『チョコレートプラネットの東京遊泳』(文化放送)
『タダバカ』でやっていた「眠くなる話」が、思いがけず面白い。
スポンサーについたブレインスリープをあからさまに意識した企画だが、考えてみれば「眠くなる話」とはいったい何かということについて、真剣に考えたことがある人はほとんどいないのではないか。
ただつまらなければいいわけでもなく、何かしら尾を引くような気になる要素が生じてしまえば眠れない。もちろん面白いのは論外で、役立つ情報もなるべくないほうがいい。
じゃあいったい何を話せというのか。何も話すべきことがないような空虚な状態で、模索しながら語られる話のその無駄話っぷりが、しかしなぜだか面白いという不思議。どんなにいいこと言ってそうな人の話にも、そもそも中身なんてひとつもなかったんじゃないかと思えてくる。
結果としてこれは、「役に立つ話」や「面白い話」ばかりを求める昨今の風潮に対する、強烈なアンチテーゼにもなっている。「面白さとは何か?」聴けば聴くほど、そんな根本的な疑問にさらされる。大袈裟に言えば、トークの新たな領域を開拓しはじめているのかもしれない。大袈裟に言わなければ、ただの中身のないからっぽな話なわけだが。
『三四郎ANN0』で、相田とアルピー酒井の番組がSpotifyでスタートすることを受けて、小宮が放った言葉の連撃が最高だった。この二人を称して、「ダブル手ぶら」「ダブル大いなる虚無」「虚無と虚無の合体」「宇宙の始まり」「ビッグバン」とまで。
こちらもまたからっぽな面白さに、手ぶらな二人が起こすビッグバンに期待したい。