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2021/6/17(木)のラジオ聴取日記~「カワ」を切らせて「キモ」が立つ~

木曜ラジオ

【聴いた番組】

『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』(ニッポン放送

『24時のハコ』(TBSラジオハナコ

『アッパレやってまーす!(水曜日)』(MBSラジオ

『エイトブリッジのヤキトリエルボー』 #53(GERA)

『佐久間ANN0』のゲストにアンガールズ田中が登場。

この番組の芸人ゲスト回はいつもそうだが、芸人が売れるきっかけやそこへ至る紆余曲折は本当に興味深く、多くの教訓を孕んでいる。

きっかけはもちろん人それぞれなのだが、やはりどうやらパターンはあるらしい、ということが回を追うごとに見えてくる。

この日のトークを強引にまとめると、芸人が売れるために必要なプロセスは、「ネタ→キャラクター→キャラクターを剥がされる」という順序になるだろうか。

「キャラを剥がされる」というのは、当時「キモカワ」というわりとお洒落なポジションでもてはやされていたアンガールズ田中が、ひな壇で吉本の手練れたちに喰らった仕打ちでもある。

だがいま考えてみれば、その容赦のなさはどうやら必要不可欠なプロセスであったらしい。

たしかに彼の場合は、「キモカワ」の「カワ」を剥がされて「キモ」だけが際立つようになってから、さらに大きくブレイクした印象がある。それはちょうど蟹のモノマネをやりはじめたころにあたる。

つまりアンガールズを象徴する「キモカワ」というキャッチフレーズの「カワ」は「可愛い」であると同時にやがて脱ぐべき「皮」であり、「キモ」は「気持ち悪さ」であると同時にまさしく「肝」であった、とでも言ってみようか。(無理に上手いこと言おうとして説得力を失うパターン)

普通に考えれば、いったんわざわざキャラクターを身につけておいてからそれを剥がされるというのは明らかに二度手間であって、だったら最初から脱いどけよと思いがちだが、やはりそこをスルーしては世間に爪痕を残せず、認知すらされないということだろう。

一見無駄に見えても省略できないプロセスなんてものは、この世にいくらでもあって。

いまの地点から俯瞰して振り返るからなのかもしれないが、芸人・アンガールズ田中の自己分析能力とテレビマン・佐久間宣行の状況分析能力が掛けあわさると、芸人に限らず人間を取り巻く事情が立体的に浮かび上がってくるのが面白かった。