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寝耳に日刊ラジオレビュー 2021年10月17日(日)号~安住アナの「ネタ振り力」が描き出す、「自慢」と「自虐」のジェットコースター~

日曜ラジオ

【聴いた番組】

安住紳一郎の日曜天国』(TBSラジオ

阿川佐和子&ふかわりょう 日曜のほとり』(文化放送

北方謙三 原作 ネオラジオドラマ 三国志』(文化放送

宮下草薙の15分』(文化放送

さらば青春の光がTaダ、Baカ、Saワギ』(TBSラジオクラウド

今週の『日曜天国』も、安住アナのオープニングフリートークは秀逸だった。

特筆すべきは、その話術における「ネタ振り力」。

まずは通常であれば他人から言われるような褒め言葉を、自分に向けてどんどん自分を上げてみせる。そして自分を自分で上げに上げきったところで、今度は急転直下。その自慢のポイントをそのままそっくり反転させて、自らを自らの手で奈落の底へと突き落とす。

この前半部分の、自慢を重ねていくところですでに、ジェットコースターの頂点へとゆっくり昇りつめていくワクワク感が半端ない。この「振り」があとで効いてくることがわかっていても、いやこの先にとんでもない急降下が待っているとわかっているからこそ、その話にすっかり引き込まれてしまう。

「自慢」で振って「自虐」で落とす。このひとり喋りのお手本のような山型グラフを描く様式美は、神田伯山にも通じるものがあるように思う。やはりこのスタイルは、ひとり喋りの基本ということか。

いっぽうで、風船の話題だけで話がいくらでも続きそうな阿川&ふかわによる縁側ラジオ『日曜のほとり』を聴いていると、掛けあいの妙というものを随所に感じる。

もちろん安住アナのほうにも中澤有美子という稀代の聴き手がいて、その相槌に促され調子に乗せられるままに、安住アナの自慢が加速してゆくからこそ落差が生まれて面白い。

この充実した二つの番組が同時間帯で重なっていることは、かつては不幸と言うべきだったかもしれないが、タイムフリー機能のあるいまとなっては幸福だ。

といっても現実に聴取率を食いあう関係にはなるわけで、そこにはやはり一抹の不安があるのだが……。