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いま注目のお笑い芸人ラジオ10選~おすすめ全国版2021~

昨年書いたこちらとの重複を避けつつ、新しめのところをフィーチャーして。

radiotv.hatenablog.com

それにしても今年はかなり芸人のラジオが、特にポッドキャストを中心に増えてきている印象で、ここへきて業界全体がシフトチェンジする時期に来ているのかもしれない、という気がする。

そこにはラジオ業界の野心を感じるというか、これまで固定客のほうを向きがちだったラジオが、ようやく新規獲得に向けて本腰を入れはじめているように見えて、これは良い傾向だと個人的には感じている。

タイトルの「いま注目の」という部分を基準に、いちおう順位をつけてみたが、もちろん好きな順位は放送回ごとのクオリティによって変わるので、全体としてあまり大差はないかもしれない。

もちろんここに挙げた番組が、この先ずっと面白いという保証もないわけだが、とりあえず試しに聴いてみる価値のある番組を並べたつもりではある。価値といっても役に立つとかではなく、純粋な面白さで。役に立ちそうなものほど、案外役に立たないものだから。

1位『きつねのこんこんらじお』(FM NACK 5/毎週金曜23:00~23:30)

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『有吉の壁』で大きくブレイクしたきつねが、練り上げられたネタとは別の、より自由なスタイルで繰り広げる30分番組。

歌ネタを主とする二人だが、フリートークとなると関西弁がより前に出て、その流暢な喋りはやはり関西芸人としての底力を感じさせる。

特に『有吉の壁』の中で、タイムマシーン3号の関が大津を嫌いな芸人に挙げたことをきっかけに勃発した、二人が互いをディスりあう展開が秀逸。リスナーもそれに同調するかと思いきや、思いがけず大半のリスナーが大津側についたことで、淡路が嫉妬の炎を燃やしてリスナーもろとも大津をこき下ろすという多勢に無勢の構図。

だがそこは近ごろ『フリースタイルティーチャー』でラップ芸人としてもメキメキ腕を上げている淡路。独自のワードセンスで火に油を注ぎ続け、大津&リスナーもそれに対抗して泥仕合に。なのに二人が吐き捨てあう罵詈雑言が、やっぱりリズミカルだったりもしてどうにも面白い。

放送時間が短いのでコーナーは最小限だが、茂木健一郎が言っていたことを募集しているにもかかわらず、絶対に言っていないことばかり送られてくる「脳科学」のコーナーに送られてくる妄言・珍説に頭がグルグルする。この番組では、どうやらかなりクレイジーな投稿が選ばれる傾向にあって、そこらへんのスタッフワークも頼もしい限り。

正直、ネタのイメージが強かった彼らがここまでラジオ向きの芸人だとは思っていなかったが、この番組を聴いて彼らの芸人としての実力を改めて実感する人は少なくないはずだ。

2位『トム・ブラウンのニッポン放送圧縮計画』(ニッポン放送 Podcast Station/毎週金曜18:00ごろ配信)

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『デドコロ』や『24時のハコ』というお試し枠を経て、いよいよレギュラーとして始動したトム・ブラウンのポッドキャスト番組。

お試しとはいえ、それだけやっていればある程度フォーマットも決まってきそうなものだが、この番組で彼らは意外なカードを切ってきた。どこにニーズがあるのかまったくわからない「みちおの恋愛話」というカードを。

しかしこれが想定外に青く切実で共感を誘い、そんな相方の恋愛相談に乗る先輩・布川の真摯なアドバイスも相まって、かなりリスナーの胸をざわつかせるラジオになっている。

それがひと段落して以降はまたどんなカードを切ってくるのか未知数だが、安定感というよりも不意の爆発を期待したくなるのは、彼らのネタ同様。

単に変なことばかり言う人かと思いきや、意外と相方を理論で精緻に詰めていくみちおのスキルが布川をおびやかす瞬間もあって、そういう予想外の展開がいつ飛び出してくるかというスリルも癖になる。

3位『マヂカルラブリーオールナイトニッポン0』(ニッポン放送/毎週木曜深夜27:00~28:30)

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ゲーム芸人どころかゲーム制作者にまでなっている野田クリスタルの、行き過ぎた「ゲーム脳」を徹頭徹尾味わえる番組。

どんな話題もコーナーメールもゲーム的に捉えて展開させていくその思考回路が、番組内に独自の世界観を作り出している。

特に「カエンタケ」という猛毒キノコのニュースを取り上げた際に、「炎系の属性を持つ武器を作るにはカエンタケが5本必要」「炎系の武具すべてを作るのに必要な素材で、そのために何度も山へ取りに行くハメになる」「同じく武器素材でも、銅は余るがカエンタケは足りなくなりがち」など、RPGあるあるがとめどなくあふれ出てくる様は圧巻で、聴いていて頷きが止まらなかった。

ゲーム的に考えるというのは、つまり目の前に起きていることの先の先の展開まで思い描いてみるということで、そうやっていくことで何気ないきっかけから物語や世界観が構築されていく。彼らがネタを作っていく手順にも、共通する部分があるのかもしれない。

4位『ぺこぱのオールナイトニッポンX』(ニッポン放送/毎週木曜24:00~24:58)

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千葉ロッテマリーンズKinKi KidsGREEN MAN、あらびきポークフランク、地下芸人――ただ純粋に二人の「好き」というだけのモチベーションを企画につなげてしまうその豪腕っぷりに、この番組の面白さがある。

そしてそんな思い切った選択を取れるのは、彼らがリスナーを強く信頼している証しでもあって。

パーソナリティが発信したものをリスナーが素直に受け止め、リスナーからの打ち返しをパーソナリティもまた尊重して取り込んでゆくという幸せな構図が生み出す笑いの渦。

送り手と受け手のあいだに、こういったグルーヴが生まれる番組は強い。ポジティブ漫才やそれぞれのキャラクターとしてのイメージが強い彼らだが、ここではあえて本名でやるという決断も含めて、より奥行きのあるぺこぱを感じられるラジオでもある。

5位『アンガールズのジャンピン』(ニッポン放送 Podcast Station/毎週木曜18:00ごろ配信)

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誰もが認める実力者が、いよいよ単独でポッドキャスト番組を開始。

関西でケンドーコバヤシとやっている『アッパレやってまーす!(水曜日)』でもすでにその面白さは揺るぎなく、そのうえ山根は全国の芸人ラジオを聴きまくっているラジオマニアでもあるから、なぜこれまでやっていなかったのかがむしろ謎。

注目は、その『アッパレ』番組内でTKO木本を「お笑いマナーうるさ人間」と田中が名づけたことに端を発する「令和人間図鑑」というコーナー。これが立ち上がり早々にハマッており、大袈裟に言えば無限の可能性を感じさせる。

とにかく「○○人間」という言い方をしてしまえばなんでも言えてしまう自由さがあって、しかし最後に「人間」とつくと異様に収まりのいい言葉になるという発見。

ラジオを熟知する山根のラジオ愛が、この先どう番組の舵取りをしていくのかというのも興味深い。

6位『阿川佐和子&ふかわりょう 日曜のほとり』(文化放送/毎週日曜10:00~12:00)

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『ROCKETMAN SHOW』で多くのリスナーに影響を与えてきたふかわりょうが、またラジオに帰ってきたというのが嬉しいが、相方がベストセラー『聞く力』を著した阿川佐和子というのがまた絶妙な人選。

両者ともに喋り巧者かつ聞き上手という、ある種同タイプの能力を持った二人の組みあわせのようにも思えるが、だからこそ二人が自在に、互いの役割を入れ替えてトークを深め広げていく様子が興味深い。

そしてもちろん、二人のあいだには世代もジャンルも思考回路にも大きな違いがあって、それぞれに素直な疑問を投げかけあいながらも、互いを受け容れて話を進めていくそのスタンスに、「多様性」という今どきな言葉が頭に浮かぶ。

「言うは易く行うは難し」なその言葉を、いまもっとも体現できている番組であるかもしれない。

7位『アインシュタイン山崎紘菜 Heat & Heart!』(文化放送/毎週日曜16:00~16:55)

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かつてKBS京都でやっていた『アインシュタインのヒラメキラジオ』は、とんでもなく面白い番組だった。いてもたってもいられず、このブログでも以前レビューを書いたことがある。

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それから東京進出を果たし、すっかり売れっ子になったアインシュタインが、女優の山崎紘菜と放送しているこの番組。当初はそのコンビネーションにやや不安もあったが、いまや順調に馴染むどころか、むしろ稲田と山崎の対比こそが、笑いを生む鉄板の落としどころになっている感すらある。

TENGA茶屋』や『ヒラメキラジオ』のときから感じていたが、アインシュタインはかなり領域の異なる人や格上の人と組んでも、ちゃんとホームの戦いができるという点が凄い。

『ヒラメキラジオ』に比べるとやはり放送時間が短いので、アインシュタインにはやはりまた長尺の番組をやってほしいという希望もやっぱりあるのだけれど。

8位『ダイアンのラジオさん』(ABCラジオ/毎月一回不定期放送)

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長年に渡りリスナーたちの生活の句読点(Ⓒ『100万円クイズハンター』)になっていた『よなよな』が終了し悲嘆に暮れている人々の元へ、ダイアンが帰ってきた。

内容はもちろん『ダイアンのよなよな』で聴けたあのダイアンそのものなのだが、どうしても緊急避難所的に用意されたように見える不定期の月イチ放送なのが気がかりで。

今後の日程はまだ未定だが、全6回の予定であるらしく、だとするとナイターシーズンオフ限りの番組ということになるが、その先があるのかどうか。

4月からはじまる大型枠が準備されていて、そのためのつなぎだと信じたいが、こんなに面白いラジオをやる人たちを、放っておいていいはずがない。

9位『83 Lightning Catapult』(Spotifyポッドキャスト/毎週月曜21時ごろ配信)

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アルコ&ピース・酒井と三四郎・相田という、ラジオファンには結構有名だが、テレビ的には「じゃないほう」同士を掛けあわせるというスポティファイの英断にまず感服。

そして早速その恩人であるスポティファイの創業者を「スポティ家」呼ばわりしてイジり倒すあたり、この二人の無責任なやんちゃさが出ていて清々しくも頼もしい。

一方でリスナーからメールで寄せられる人生相談に対しては、意外と的を射た回答をズバッと言い切る瞬間もあって、のらりくらりと見えていながらズバッと急所を突いてくる酔拳のような、何がどこから飛び出してくるかわからない楽しさがある。

結果、今のところSpotifyポッドキャストランキングではずっと1位。今年に入ってからポッドキャストの芸人ラジオが活気づいている印象がある(アメリカではかなり前からポッドキャストが流行っており、それがようやく来日した印象)が、それを牽引していく存在になるかもならないかもしれない。

むしろそういう肩の力が抜けたスタンスこそが、今どきっぽい親近感を感じさせているような。

10位『シソンヌの“ばばあの罠”』(RKBラジオ/毎週金曜23:00~24:00)

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キングオブコント』王者でありライブでの評価も抜群に高いシソンヌが、なぜか福岡でやっているラジオ。印象的なタイトルは、彼らのコントの題名から。

ウェルメイドなコントとは一線を画す、まったく気取らないフリートークがこの番組の魅力。野球の話や下ネタが止まらなくなる時間帯もあり、内容的にはむしろ、じろうがコントで演じるそこらへんのおっさんに寄っているくらいかもしれない。

だがこういう日常的な感覚があのシュールなコントを生み出していると考えると、なんだかちょっと感慨深いものがある。ベタとシュールが、実は裏では地続きになっている世界というか。

このリラックスした感触は、やはり地方局の番組ならではの雰囲気であるのかもしれない。個人的には、KBS京都チュートリアルがやっているラジオ番組『キョートリアル!』に近いものを感じている。

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