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2014夏ドラマ初回感想~『家族狩り』~

原作/天童荒太、脚本/大石静

とにかく主演の松雪泰子が怖い。出演者全員が怖い。いや伊藤淳史だけが救いとして用意されており、通気孔のような働きをしている。

脚本も演出も、とにかく怖がらせる方向へと迷いなく徹底されている。明るい出来事があった場合それは、不幸への振れ幅を稼ぐための前触れにすぎない。

本作に比べれば、前クールの『MOZU』などはまだ爽快感あふれるドラマだったなと思えるくらい、暗く絶望にあふれている。フィクションに感情を持っていかれやすい人は、観たあと立ち直るのが難しいかもしれない。だが力作であることは間違いない。

ただし、すべてが暗さへとコンセプチュアルに統一されすぎていて、それが観る側に息苦しさを与えるのも事実。そこはブレがなさすぎるというか、狙いが定まりすぎている感あり。

絶望というひとつの感情を縦に掘り進めることを「深さ」と見るか、他の感情をあえて排した幅のない作りを「多様性のなさ」と見るか。もちろん、この先の展開次第ではある。

【初回視聴率】10.5%