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2022年夏ドラマ傾向と対策

傾向と対策というか迎え撃つ準備というか。むろん撃つ必要はないのだが。いわば勝手に心の準備。


【月曜日】
◆『競争の番人』(フジテレビ/月曜21時/坂口健太郎、杏主演/7月11日スタート)
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前クールの『元彼の遺言状』と同じく新川帆立原作。それだけ局側の原作者への評価が高いということだろうが、『元彼~』がバラバラのパーツを寄せ集めた統一感のない内容だったことを考えると、少なくともドラマに関してはあまり期待はできないかもしれない。

作品の舞台は公正取引委員会。昨今は刑事、医者、弁護士ものが多い中、それ以外で正義感を発揮できるジャンルを各局模索している感があるが、いよいよここまでニッチなところを突いてきたかという設定。そのぶん、キャッチーさには欠ける。


◆『魔法のリノベ』(フジテレビ/月曜22時/波瑠主演/7月18日スタート)
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『家売るオンナ』のヒット以降、不動産関連のドラマもちらほら。前クールでやっていた『正直不動産』も、わりと評判が良かったようで。

今度はそこからまた一本奥へ入った感じで、住居の「リノベーション」を手掛けるという部分にポイントを絞ってきた。

間宮祥太郎は、前々クールの『ファイトソング』と前クールの『ナンバMG5』が素晴らしかったので、自然と期待してしまう。とはいえ、設定の地味さは否めないが。


【火曜日】
◆『ユニコーンに乗って』(TBS/火曜22時/永野芽郁主演/7月5日スタート)
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どちらかというと日テレ「水10」枠っぽいお仕事ドラマ設定。

主人公が「スタートアップ企業の若き女性CEO」と言われると、いかにも今っぽさど真ん中すぎてむしろリアリティに欠けるような気がするが、その脇に西島秀俊がいるならばなんとかなるような気がしてしまう。『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』で株を上げた杉野遥亮も注目の俳優。

主役が単なるイチ社員ではなく会社のトップであるというところが、仕事に恋にどんな影響をもたらしてくるのか。そこが他との明確な違いを生み出してくれると面白い。


【水曜日】
◆『刑事7人(シーズン8)』(テレビ朝日/水曜21時/東山紀之主演/7月13日スタート)
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シーズン1時代の、適度に緩くチャーミングな雰囲気はどこへやら。すっかりシリアスな刑事ドラマとして、毎度微妙に編成を変えながら安定したクオリティを保ってきたこの作品も、気づけばすでにシーズン8。

このドラマはシーズンごとに毎度わりと大胆に変更してくる部分があって、長く観ている視聴者も飽きさせない。個人的には好きなシリーズドラマのひとつなので、期待している。


◆『家庭教師のトラコ』(日本テレビ/水曜22時/橋本愛主演/7月20日スタート)
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過保護のカホコ』『同期のサクラ』と同じ響きを持つ遊川和彦脚本。今回はその二作とは違って高畑充希ではなく、橋本愛が主役というのが大きな違いで、そうなればあの素直で無邪気なキャラクターともだいぶ変わってくるだろう。

今回は設定が家庭教師ということで、同じく家庭に入り込んでいくという意味でも、遊川脚本でいえば『家政婦のミタ』寄りのキャラクターか。キャラの強さにおいては、今期随一の予感が。


◆『テッパチ!』(フジテレビ/水曜22時/町田啓太主演/7月6日スタート)
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前クールの『ナンバMG5』で、視聴率はイマイチだが内容的なクオリティと満足度は非常に高いという複雑なデビューを飾ったフジテレビの「水10」枠。

ヤンキーものに続いて陸上自衛隊を持ってくるあたり、枠のコンセプトであるらしい「ニューヒーロー」という軸はまだブレていないようだ。それにしても今どき珍しい「漢」路線。

自衛隊設定といえば瑛太北川景子の『リコカツ』を思い出すが、あれはあくまでも離婚活動=リコカツのほうがメインの作品ではあった。

対して完全に自衛隊をドラマの中心に置いた場合、さすがに窮屈な印象を受けるが、そこからどうやって一般視聴者へ共感の扉を開いていくのか。そこがネックになりそうな雰囲気は漂っている。


【木曜日】
◆『六本木クラス』(テレビ朝日/木曜21時/竹内涼真主演/7月7日スタート)
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Netflixで世界的に大ヒットしたドラマを、場所を六本木に変えてリメイク。安直すぎて笑いそうになる移植だが、元が元だけにクオリティは保証されていると見ていいだろう。

脇を香川照之が固めているというのも、その重しになるはず。


◆『純愛ディソナンス』(フジテレビ/木曜22時/中島裕翔主演/7月14日スタート)
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高校教師と生徒との禁断の愛、となるともちろんかつての『高校教師』を思い出してしまうが、まさにそういう狙いが見える。さらにこの木曜10時の枠で禁断の愛と言えば、『昼顔』の幻影がずっとつきまとっているわけで、その二作の名を挙げれば企画を通す必然性はあるように思える。

だが逆にいえばよくある古典的な設定ではあるため、どこで新しさを出していくのかが難しい。


【金曜日】
◆『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』(TBS/金曜22時/有村架純中村倫也主演/7月8日スタート)
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「リーガル・エンターテインメント」と言われると、さすがに「またか!」とつい思ってしまうが、今回はスタッフが『MIU404』や『最愛』を手掛けたチームとなれば、自動的に期待せずにはいられない。

だからといって事前にどこをどう期待できるというポイントは特に見あたらないのだが、ダブル主演を務める有村架純中村倫也にハズレが少ない印象はある。

つまりラインナップ的に鉄板、というほかないが、それはかなり信頼できる根底の部分でもある。


◆『NICE FLIGHT!』(テレビ朝日/金曜23時15分/玉森裕太主演/7月22日スタート)
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パイロットが主役のドラマといえば『GOOD LUCK!!』という金字塔があるが、個人的にはあまりリアリティを感じられない設定のひとつ。

だが公式HPの番組概要を見る限り、パイロットものというよりは恋愛がメインであるようなので、職業に関してはあまり気にしなくてもいいのかもしれない。

玉森裕太中村アンという役者陣は魅力的だが、逆に言えばそこに頼り切った作品であるようにも。


【土曜日】
◆『空白を満たしなさい』(NHK総合/土曜22時/柄本佑主演/6月25日スタート)
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すでに一話目が放送されているが、原作が純文学というわりにはミステリー然とした立ち上がり。

かと思いきや、後半になっていかにも純文学的な重さがグッと増してくる。阿部サダヲの怖さが際立つ。

かなり暗く思い作風なので観る人を選ぶとは思うが、この先が気になるのは確か。


◆『初恋の悪魔』(日本テレビ/土曜22時/林遣都、仲野太賀主演/7月16日スタート)
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『カルテット』の坂元裕二が書く刑事ドラマ、という時点で話題性は充分か。そのうえで題名には恋愛要素が入り、公式では「ミステリアスコメディー」と紹介されている。

つまりベタな「刑事ドラマ」というジャンルに、あらゆる要素を持ち込んでその領域拡大を図ってやろうという野心が見える。メインキャストはやはり4人であるらしく、脚本家のカルテット編成へのこだわりも見える。

個人的には『カルテット』は色々やろうとした結果散漫な印象で、坂元裕二作品であれば『最高の離婚』や『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』のほうが面白いと思っているが、今回はどのような作風で来るのか。

「刑事ドラマ」という古典的ジャンルに風穴を開けるような作品を期待したい。


【日曜日】
◆『オールドルーキー』(TBS/日曜21時/綾野剛主演/6月26日スタート)
www.tbs.co.jp

「引退したアスリートの第二の人生」というテーマは、同じく福田靖が脚本を手掛けた前クールの『未来への10カウント』と共通している。脚本家の中で、いま考え続けているテーマなのだろう。

ただし局が違うとはいえ、二期連続となると似たようなパターンに陥るのではないかという危惧はある。

すでに一話目が放送されており、とりあえずその前半部分を観たが、いまのところちょっとありがちで安っぽい展開であることは否めない。

それは全体としては楽しめた『未来への10カウント』でも少なからず感じていた部分だが、どうも意図的に漫画的なベタをやっているようにも感じられる。『HERO』を書いていたころの福田靖に比べると、脚本にだいぶ照れがなく臭みがある。

――と思って調べてみたら、『HERO』はもう20年前の作品。だとすれば、すでに比較対象とはならないかもしれない。とはいえ「日曜劇場」なので、クオリティは伴ってくるはず。


◆『新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~』(日本テレビ/日曜22時30分/永瀬廉主演/7月24日スタート)
www.ytv.co.jp

「もしも戦国武将たちがクラスメイトだったら」という、いかにも漫画的なフィクション設定。この時点でだいぶチープな印象を受けるが、基本はヤンキー学園ものと考えるべきなのか。

この枠は『あなたの番です』や『真犯人フラグ』といった考察系ミステリーを2クールに渡ってやったり、かと思えばこういう若者向け(?)な漫画原作のドラマを繰り出してきたり、わりと節操がない。

個人的には前者のほうが楽しめるのだが、ひとりの戦国武将好きとしては、これもまた楽しめるのか、むしろ武将好きだからこそ変にイジッてほしくないと感じるのか、微妙なところではある。


【今期の個人的注目作】

◎『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』
 『MIU404』『最愛』チームへの信頼の厚さゆえ。
 

○『初恋の悪魔』
 脚本の力を信じて。ただしあまり『カルテット』的でないことを願う。
 
○『刑事7人(シーズン8)』
 また全編を一本の長編としてダイナミックに構成してくるのか。一話完結に戻るのか。何かしらのテコ入れにも期待。

△『家庭教師のトラコ』
 『カホコ』と『サクラ』は楽しめたが、女優が変わると全体がどう変わるのか。