寝耳に日刊ラジオレビュー 2021年10月11日(月)号~大帝国のとぼけた攻城戦とクズの生態系崩壊~
【聴いた番組】
『オールナイトニッポン0 ~決戦!お笑い有楽城~』(ニッポン放送)
『83 Lightning Catapult』(Spotifyポッドキャスト)
『和牛のモーモーラジオ』(文化放送)
『TENGA presents Midnight World Cafe ~TENGA茶屋~』(FM大阪)
『パンサー向井のチャリで30分』(ニッポン放送)
優勝すると『オールナイトニッポン0』の単発放送枠がもらえる『お笑い有楽城』で、タイタンのまんじゅう大帝国がその権利を手に。
聴いているうちに、条件として与えられた2分や5分といった短時間で落とすフリートークの難しさを改めて痛感させられるが、この日はまんじゅう大帝国とカカロニが飛び抜けていたように思う。
まんじゅう大帝国はあえて具を抜いたように中身がなく、すっとぼけた文体の面白さのみで持っていく文体勝負型で、純文学ファンとしてはとても興味深いスタイル。
のらりくらりと虚実を入り交ぜるその話術は、一見すると力が抜けているように見えるがこれはある種のストロングスタイル。題材がなんであろうと中身がさっぱりなかろうと、この文体があれば面白くできるという点が強い。むしろ中身がなければないほど、くだらなさが増して面白くなるかもしれない。
あえて古い喩えを持ち出してハクをつけるならば、彼らにはちょっと昭和のいる・こいるの漫才を彷彿とさせる飄々とした笑いがあった。
『空気階段の踊り場』には常連ゲストの岡野陽一が登場。出だしの挨拶から終始、祝砲代わりのひがみを込めた名言を連発していたのが最高だった。
特に印象的だったのは、このたび空気階段が『KOC』で優勝したことにより、「我々クズの生態系が崩された」という発言。たしかに鈴木もぐらのようなキャラクターが努力の跡を見せ大きな結果を残すことで、その他大勢のクズの立場がなくなるという岡野理論は、あるいは一理しかないとしても一理くらいはあるように思える。
さらにはリスナーからの「来年はぜひ3人でユニットを組んでKOC連覇を」という提案に対して、ひとりだけ明らかに賞金目あてで前のめりに乗ってくる感じも、むしろ頼もしいくらいで。
そういえば岡野陽一はかつて『R-1』でやったネタのクオリティが高くて、近いうちにあっさり獲ったりするんじゃないかと思ったりもするのだけれど、この先テレビでも空気階段との共演が増えていったりすると面白いことになるかもしれない。