【聴いた番組】
『問わず語りの神田伯山』(TBSラジオ)
『JUNK おぎやはぎのメガネびいき』(TBSラジオ)
『問わず語り』はオリンピックの日程変更により、当初あるはずのない放送があるという、かなり珍しい状況下での放送。
「ない」ものが「ある」。それだけで少し愉快だ。
そしてその状況が番組の質になんの支障も及ぼさないどころか、むしろ美味しい時事ネタに水を得た伯山節が絶好調。
時事ネタというのはもちろん、選手の金メダルに噛みついた名古屋の河村市長の件で。
それは当然世の中を席巻している話題であって、誰も彼もが語るお題ではあるのだが、途中「俺の中の河村市長が」というパンチラインが飛び出したあたりから、別次元のドライブがかかるのがやはりこの人の凄さ。
他人の失策をただ外側から責めるのではなく、いったん自分の中にすっかり取り込んでから笑いに変えるというこのスタンス。
一度は棚に上げた自分を、ことあるごとに棚から降ろしてきちゃうこの按配。
それはやはり、世間的に言うところの「駄目な人」をフィーチャーすることの多い落語から学んだ視点だろう。
学んだというよりは、あらかじめそういう感覚を持っていたからすんなり入ってきた、ということなのかもしれないが。
単なる「批判」と笑いに昇華される「毒舌」の決定的な違いは、その批判となる対象にいくらかでも自分が含まれ得るという想像力が感じられるかどうかにあると、改めて考えさせられる。