寝耳に日刊ラジオレビュー 2021年10月1日(金)号~伯山憑依漫談と全言勝負の世界観~
【聴いた番組】
『問わず語りの神田伯山』(TBSラジオ)
『クリープハイプ 尾崎世界観 声にしがみついて』(JFN系列)
『週刊!しゃべレーザー』(SBSラジオ)
『問わず語り』は先週に引き続き、周囲を巻き込んでの自虐が炸裂する絶好調の「禿げ漫談」。
それにしても伯山が他人の口ぶりを真似る憑依芸は、間違いなく面白い。
ここで披露される医者の物真似も、たぶん伯山も意識しているとは思うがケーシー高峰を思わせるインチキ臭いトーンと文体が絶妙で、彼の観察力と表現力を強烈に感じさせる。もうこの医者とのやりとりだけで、二時間の漫談をやってほしい。
尾崎世界観待望の新番組『声にしがみついて』がFMでスタート。JFN系列とのことで、地方局によって放送時間がバラバラでつかみにくいが、とりあえず10月1日にスタートした広島FMをチョイス。
内容的には、ここでもよく取り上げている文化放送で隔月深夜放送中の『悩みの羽』に比べるとややライトな雰囲気だが、やはり尾崎世界観の語りはよく考えながら話している様子がたしかに伝わってくる。
曲もかかりつつの30分番組なので、トークの量的な物足りなさはあるが、やはり彼の持つ言葉の力を感じる瞬間は少なくない。
初回は雑談力を身につけたいと悩むリスナーのメールに対し、雑談力なんていらない、雑談なんてしたことない、話す言葉全部で勝負してる、と言っていたのが印象的だった。たしかに場つなぎのためだけに放たれる言葉は、発言のアベレージを下げるだけなのかもしれない。