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2021/8/28(土)のラジオ聴取日記~常時暗中模索のフェイクラジオ~

土曜ラジオ

【聴いた番組】

三四郎オールナイトニッポン0』(ニッポン放送

『シソンヌの“ばばあの罠”』(RKBラジオ

中川家 ザ・ラジオショー』(ニッポン放送

さらば青春の光がTaダ、Baカ、Saワギ』(TBSラジオ

宮下草薙の15分』(文化放送

三四郎ANN0』には、以前電話出演した流れから、オリンピック/パラリンピックの開幕前に「ブルーインパルスを操縦していた」と言い張る(というほど言い張りきれてもいなかった)芸人、笑撃戦隊のアイスピック少佐が登場。

これ自体、いまさらフィーチャーするほどの話題でもないうえに、なぜかその手にサックスを持って登場してくるアイスピック少佐。当然のようにそれはなんだという話になり、なぜかその場のリクエストに答えてアイスピック少佐がいろんな有名曲を吹いてみせる展開に。

そうやって調子よく吹いていると、今度は相田が俺のほうが上手いと言いはじめ、しかし相田はサックスが吹けるわけではないので「口サックス」で対抗。そうなるとただ歌っているだけなのでどんな曲もお手のもので、アイスピック少佐のサックスがすっかり霞んでしまう。

もうこのあたりで充分にわけがわからない展開と言っていいが、そこから今度はアイスピック少佐のまた別の趣味である武器の話になり音声のみによる格闘がおこなわれ、さらには最終兵器としてアイスピック少佐の後輩芸人でありこの番組では何かと重宝されているバッドナイス常田が投入される。

するといつもは掻きまわし役である常田が、この日ばかりは「ブルーインパルスに乗ってたなんて嘘ですよね」と珍しくまともなことを言い出し、先輩を問い詰めるという不安しかない流れに。

しかし常田が正論を吐く立場に慣れないせいか、二人の口論はグダグダの泥仕合になり、それに乗じて唐突にサックスを吹き出したりなんだかんだあって、結局はなぜかジャズのおかげでみんなのあいだに絆が生まれたような気がしなくもないエンディングへ。

たぶん初めて聴いた人はなにがなんだかわからないかもしれないが、毎回聴いているこっちだってなにがなんだかわからない。でもそれがわからないままに面白くて、それはどうやらほかのコンテンツでは代えがきかない面白さなのである。

ひとつのちっぽけな嘘を中心に、番組の最中ずっと状況が不安定に動き続けていて、だからこそ思いがけない跳ねかたをする。そんな常時暗中模索のフェイクラジオは、その手探りのプロセスこそが稀有なエンターテインメントになっている。