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2026年夏ドラマ傾向と対策(7月スタート作まとめ)

前クールの春ドラマでは、『リボーン ~最後のヒーロー~』や『刑事、ふりだしに戻る』のように、ありがちな設定(タイムリープ)でありながらも尻上がりに興味深い展開を見せていく作品があったのが印象的だった。

いつもこうやって事前にドラマエントリを書く際には、やはり内容をわかりやすく伝えるためにまず設定をまとめることにしているのだが、そうなるとどうしても設定がありがちなものには興味が薄くなりがちになる。

おそらく少なからぬ視聴者の中にもそういった不満はあって、だからこそ制作者側も苦心して細かく設定を定番からズラしてくるのだと思うが、しかしこの二作に関してはそういった小細工抜きにやりたいことを正面からやっている感じが、むしろすがすがしくも感じられた。

とはいえバリエーションは多いに越したことはないというのも事実。とはいえ今期はそういう細かな違いを吹っ飛ばすくらいの例の話題作の続編が待ち構えているので、まずは再放送を観ながらそれを心待ちにしている人も多いと思う(もちろん僕も)。

とりあえずその「一強」は誰の目にも明らかなはずだが、他にも興味深い作品はもちろんあるのでひとつずつ追ってみたい。

なお、深夜ドラマに関してはさすがに近ごろ総量が増えすぎていて、そうなるとやはり玉石混交どころか明らかな「石」が多くなっている。そのような事態を踏まえたうえで、今回はあくまでもプライム帯を中心に取り上げ、深夜枠の取り扱い作品はかなり絞ってある。前回はちょっと律儀に並べすぎて、無駄にリストが長くなってしまったという反省もあって。

それでは以下、曜日順に。


【月曜日】
◆『ブラックトリック~裁きを操る弁護人~』(フジテレビ/月曜21:00/GACKT主演/7月20日スタート)
www.fujitv.co.jp

弁護士兼一級建築士の主人公が、でっち上げの嘘を武器に真実を暴くダークヒーローと化すリーガルエンターテインメント。 いくらダークヒーローとはいえ、GACKTの弁護士姿にリアリティを感じるのは結構難しそうに思えるが、プロデューサーが『HERO』を手がけた人なので一定のクオリティは出してくるはず。

脚本家として計七名の名前が並んでいるので、本作も近ごろフジテレビが採用している「ライターズルーム方式」ということになるのか。ただ公式HPの脚本家欄には「担当話順」とも書いてあるので、合議制というよりは一話ごとのローテーション制という感じなのかもしれない。

でっち上げ系の弁護士設定という意味では、2025年春にTBSで放送されたドラマ『イグナイト -法の無法者-』とかなり似た設定であるように見える。「リーガルものをイリーガルな領域に飛躍させる」という逆説的な設定も、いまや定番になってしまいさほど新鮮味はなく、そうなると主人公のキャラクター勝負になってくるがGACKTがどこまで背負えるか。


◆『GTO』(関西テレビ・フジテレビ/月曜22:00/反町隆史主演/7月20日スタート)
www.ktv.jp

伝説の教師・鬼塚が28年の時を経て52歳になって帰ってくる。

あの頃に比べて教師には遙かに窮屈な役割しか許されぬ現代学校教育において、どこまでの破天荒をOKラインとするのかは気になるところ。そのスタンスは自動的に現代社会の反映、そしてそれに対する風刺となるだろう。

続編をやるという話を聴いて当初は「なぜ今?」と思ったが、逆張りという意味ではむしろ「今こそ」と言えるタイミングではあるのかもしれない。


◆『夫を殺したはずなのに』(テレビ東京/月曜23:06/内田理央主演/7月6日スタート)
www.tv-tokyo.co.jp

何度命を落としても、不倫夫とその愛人への復讐を繰り返していくタイムリープ復讐サスペンス。

テレ東でまた夫殺し、さらにはテレ東でまたタイムリープものかとつい思ってしまうが、前クールでやっていたタイムリープ作『刑事、ふりだしに戻る』が思いのほか良作だったので油断はならない。

たしかに役柄に違和感はないとはいえ、内田理央はさすがにこの手の役ばかりやりすぎているような。


【火曜日】
◆『クロスロード ~救命救急の約束~』(テレビ朝日/火曜21:00/今田美桜主演/7月7日スタート)
www.tv-asahi.co.jp

相変わらず医療ドラマは毎期コンスタントに入ってくるが、こちらは救命医、救急隊員、警察官の三者の正義が交差する「クロス医療ドラマ」とのこと。その関係性を描く部分が新味といったところだろうか。

正直そう言われてもあまりピンとは来ないが、『ドクターX』のファン層を引き継ぎたいという狙いは明確。いまのところ、そこまでのインパクトはないように見えてしまうが。


◆『さよならノワール』(フジテレビ/火曜21:00/小池栄子主演/7月7日スタート)
www.fujitv.co.jp

警視庁西池袋署に新設された「犯罪被害者支援室」に所属する元マル暴の刑事。彼女が空気の読めない心理学者とバディを組み、犯罪被害者に寄り添う警察ヒューマンドラマ。

脚本は『昼顔』『緊急取調室』の井上由美子。彼女が手がけた昨年の『愛の、がっこう。』も良い作品で、この人は恋愛ものと刑事もの、その両極のどちらを書いても間違いのないクオリティを叩き出してくる印象がある。

小池栄子×北香那のバディは二人ともコメディ方面にも振り切れる役者であるため、なんとなく笑いの配合比率高めでいきたくなりそうなところだが、題名と予告の雰囲気からすると今回はシリアス方面か。いずれにしろ良質なドラマになることはおそらく間違いないだろう。

radiotv.hatenablog.com


◆『君の好きは無敵』(TBS/火曜22:00/松本若菜主演/7月14日スタート)
www.tbs.co.jp

元コンサルのキャリア女性と偏屈な訳ありデザイナーが、世界的人気キャラを生み出すためにキャラクタービジネス業界で奮闘するラブコメディ。

脚本の宮本武史と主演の松本若菜はすでに『西園寺さんは家事をしない』でタッグを組んでいるが、あちらは漫画原作があったのに対してこちらはオリジナル脚本。宮本オリジナル脚本といえば、昨年日テレでやっていた『ダメマネ!』もコメディとシリアスを両立する独特の空気感を生み出していた。

今回の設定は業界人が近年やたらと口にする「IP」を題材にしていたり、また題名に「無敵」といういかにも若者に響かせることを狙った感じの言葉を含んでいたりと、ところどころやや軽すぎる感じは受けるが、そういったポップな表面の奥にあるリアルな人間ドラマを期待したい。


◆『スピナーベイト』(フジテレビ/火曜25:30/加藤清史郎主演/6月30日スタート)
www.nbcuni.co.jp

高校のフィッシング部を装った自警団「スピナーベイト」。恐喝まがいの行動を繰り返すその組織独自のルールと序列に縛られた中で、連続殺人犯を追う青春クライムサスペンス。

とにかく注目は原作があの怪作『オッドタクシー』『シナントロープ』を手がけた此元和津也作品であるという点。

此元作品は序盤にセッティングする情報量が多く、立ち上がりがやや重くなりがちなきらいはあるが、それ以上の重量感で旧来のドラマ展開とは一線を画する怒濤の展開が後半に待ち受けているはず。

radiotv.hatenablog.com


◆『幸せになりたいマサムネくん』(MBS・TBS/MBS火曜24:59 TBS火曜25:26/中沢元紀主演/7月8日スタート)
www.mbs.jp

もうすぐつきあって10年になる彼女がいるにもかかわらず、相席居酒屋で出会った女性と間違いを犯してしまうマサムネくん――人間のズルさと純粋さ、そして日常の危うさを描き出す大人の恋愛群像劇。

こちらは漫画原作があるものの、NHK夜ドラ『いつか、無重力の宙で』で繊細な人間関係を紡ぎ出した武田雄樹脚本に注目。


【水曜日】
◆『大追跡~警視庁SSBC強行犯係~ Season2』(テレビ朝日/水曜21:00/大森南朋、相葉雅紀、松下奈緒主演/7月22日スタート)
www.tv-asahi.co.jp

最先端のデジタル捜査と、執念の泥臭いアナログ捜査を融合させた刑事ドラマのシーズン2。

あくまでもテレ朝らしいオーソドックスな刑事ドラマという感触で、『HERO』の福田靖脚本がそれを支えているため安定感はある。


◆『Tokyo middle 30』(フジテレビ/水曜22:00/仲里依紗主演/7月22日スタート)
www.fujitv.co.jp

35歳という人生の分岐点に立つ親友3人が、理想と現実のあいだで自分らしい生きかたを模索する再出発の物語。

韓国ドラマの日本版というはよくあるが、中国の大ヒットドラマのリメイク版という形は意外と珍しいかもしれない。

しかしそれにしては、いかにもフジテレビが過去に繰り返してきたジャンルそのままであるような気も。とりあえず中華原作ならではの特長を探してみたくはなる。


◆『ファーストクライ 母子救命救急班』(日本テレビ/水曜22:00/比嘉愛未主演/7月8日スタート)
www.ntv.co.jp

セレブ御用達病院の母子救命救急班が舞台の医療ドラマ。

ついに医療ドラマにまでセレブ設定が食い込んできた形だが、それを現実離れしていると感じるか好奇心をそそられるか。

わざわざセレブ向けに限定した必然性や特殊性が、事件やストーリーから感じられるのかどうか。


【木曜日】
◆『大空港~GATE24~』(テレビ朝日/木曜21:00/趣里主演/7月23日スタート)
www.tv-asahi.co.jp

空港を舞台に、鋭い観察眼を持つ税関職員らが国際犯罪に立ち向かう痛快エンターテインメント。

となるとこの設定で何がそんなに「痛快」なのかという疑問が湧くが、公式HPには「ニュータイプのクセ強ヒロイン」とのフレーズもあるので、父親の杉下右京に負けないキャラクターを作りたいという意思がその裏に見え隠れしているような。

パイロットでも刑事でもなく税関職員という立場が、事件の解決にどのように作用するのか。たしかにキャラクターに強度がなければ、見どころが作りにくいやや地味な設定ではあるのかもしれない。


◆『ラストノート』(フジテレビ/木曜22:00/内田有紀・寺西拓人主演/7月9日スタート)
www.fujitv.co.jp

49歳の女と30歳の男が惹かれあう年の差純愛ラブストーリー。

『昼顔』『愛の、がっこう。』などに続くいかにも木曜劇場らしい路線。

年の差以外は特筆すべき点のない普通の、韓流を意識したオーソドックスなラブストーリー設定に見えるが、そうなると細やかな心理描写で勝負できるかどうか。


【金曜日】
◆『リーガルビート -逆転の法廷-』(テレビ東京/金曜21:00/鈴鹿央士主演/7月24日スタート)
www.tv-tokyo.co.jp

月9同様の弁護士ものだが、こちらは依頼者の心の声をラップに乗せてピンチを切り抜ける痛快逆転リーガルドラマ。

どうも近ごろは「弁護士に何を+αするか大喜利」みたいになってきているような気もするが、言語を操って人の心の内を語るという意味では、ラップと弁護はそう遠い属性ではないのかもしれない。

ゆえに漫画であれば完全に許容範囲内の設定であるように思うが、法廷でラップを繰り広げるシーンがドラマ全体にリアリティ面でどのような影響を及ぼすのかは気になるところ。

そもそも本当に法廷で突如ラップを繰り広げたりするのだろうか。あるいは心の中でリリックを紡ぎ出しながら、それを通常の口調に変換して発表するという二段構えなのか。


◆『Tシャツが乾くまで』(TBS/金曜22:00/蒼井優主演/7月10日スタート)
www.tbs.co.jp

とある事故に巻き込まれた二組の夫婦による、喪失からはじまる愛と秘密の物語。その事故によって暴かれた「第3金曜日の秘密」とは……?

フジテレビの秘蔵っ子感の強かった『silent』の生方美久によるTBSデビュー作。蒼井優の18年ぶり地上波連ドラ主演もさることながら、中島歩、夏帆、松山ケンイチといった癖のある実力派を揃えた充実の布陣。特に独特の空気感でシーンを支配する中島歩は、いまもっとも気になる俳優のひとり。

人情の機微に触れる精緻な生方脚本と個性派役者陣の組みあわせが、どんな日常を描き出してくれるのか。爽やかでありながら含みのあるタイトルからして、すでに深味を感じさせている。


◆『名探偵のままでいて』(テレビ朝日/金曜23:15/吉川愛主演/7月17日スタート)
www.tv-asahi.co.jp

孫娘が持ち込んでくる謎を認知症の祖父が解き明かす安楽椅子探偵ミステリー。

その設定を聴いた時点で、認知症のご都合主義的な扱いがやや気になるところだが、孫×祖父というかけ離れた年齢設定も含めてかなりフィクション度高めの内容であるように思われる。

全体に探偵系ラノベっぽい内輪ノリを感じる(原作小説は『このミステリーがすごい!』大賞受賞作)が、それがパロディとして機能するのか空回りするのか。


【土曜日】
◆『告白-25年目の秘密-』(日本テレビ/土曜21:00/松村北斗主演/7月11日スタート)
www.ntv.co.jp

ひとりの女性を25年間片想いし続けてきた男の、純愛あるいは狂気のラブサスペンス。

タイトルを聴いた時点で湊かなえ原作のTBSドラマかとつい思ってしまうが、そのどちらでもないオリジナル脚本による日テレドラマ。

とはいえいかにもTBSの金曜ドラマでやりそうな内容ではあり、それらしい本格派っぽさも漂っているが、あまり日テレが得意な路線ではないような気も。

個人的にはどうしてもTBSの『最愛』『リバース』『Nのために』あたりと比較して観てしまうため、勝手ながらやや期待もハードルも上がり気味。


【日曜日】
◆『VIVANT(第2シーズン)』(TBS/日曜21:00/堺雅人主演/7月26日スタート)
www.tbs.co.jp

これはもはや有名すぎて説明不要だろう。社会現象を巻き起こしたあの大作が、満を持して2クール(6ヶ月)体制の巨大な続編を引っさげて帰ってくる。

2クールという長さがさらなるスケールアップを目論んでいるように見えるが、はじまりから特大スケールであったすでにして壮大な物語の、いったいどこをどうやって拡大させていくのか。

むろん長さゆえに中だるみを起こす危険性もあるが、今のところは遙かに期待感が上回る。


◆『マイ・フィクション』(ABC・テレビ朝日/土曜22:15/玉森裕太主演/7月5日スタート)
www.asahi.co.jp

平和すぎる町で事故に遭った男が意識を失い、目覚めると周囲の人間に自分の存在を忘れ去られているうえに、他人が自分になりすまして生きていた――記憶に隠された真実を追うサスペンスラブストーリー。

近年は記憶喪失系ドラマが増えている印象があるが、どれも基本的には主人公が記憶を失う側であり、周りが自分を憶えていないという逆転パターンは珍しいかもしれない。

「狂っているのは自分なのか世界のほうなのか」という不条理な疑念はある種カフカ的で興味深いが、しかし一歩間違えると転生系ラノベ的な安っぽさを感じさせてしまうリスクも。


◆『一次元の挿し木』(日本テレビ・読売テレビ/日曜22:30/山田涼介主演/7月5日スタート)
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200年前の人骨のDNAが4年前に失踪した義妹と一致するという、時を超えた謎からはじまるヒューマンミステリー。

同枠の前クールのドラマが『10回切って倒れない木はない』であったため、なるほど「木」つながりでなにかしらの関連性があるのかと思いきや、特に関係はないっぽくて勝手に拍子抜けしてみたり。

こちらも『名探偵のままでいて』と同様に原作は『このミス』受賞作。ややコミカルな雰囲気を持つあちらに比べると、こちらはタイトルからしてだいぶ本格派というか生真面目な印象。もう少し「抜け感」が欲しい気もするが、めくるめく展開で魅せられるか。


【今期の個人的注目作】

◎『VIVANT』
鉄板中の鉄板で恐縮だがさすがにこの「一強」ははずせない。懸念は2クールという長さによる中だるみのみ。

○『Tシャツが乾くまで』
生方美久脚本×ドラマのTBS。台詞まわしの妙に唸りつつ、フジテレビ作との明確な違いを感じたい。

△『告白-25年目の秘密-』
TBS金曜ドラマの名作群に接近できるのか、あるいは根本的なレベル差を見せつけられることになるのか。


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