寝耳に日刊ラジオレビュー 2021年10月30 日(土)号~健全な価値観の衝突と今様音楽の罠~
【聴いた番組】
『トム・ブラウンのニッポン放送圧縮計画』(ニッポン放送 Podcast Station)
『シソンヌの“ばばあの罠”』(RKBラジオ)
『三四郎のオールナイトニッポン0』(ニッポン放送)
『さらば青春の光がTaダ、Baカ、Saワギ』(TBSラジオ)
『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)
『沈黙の金曜日』(エフエム富士)
『ニッポン放送圧縮計画』、トム・ブラウンの二人のあいだで繰り広げられる、伝わりそうで伝わらない会話がかなり面白くなってきた。
会話をリードする布川の意見に、いちいち根本から引っかかって疑義を唱えるみちおという構図。互いの価値観が正面からきっちり衝突する様子が、いまの忖度だらけの世の中にあってはむしろ健全であるように響く。
『ばばあの罠』でシソンヌが唱えていた、「最近の音楽は刺さらない」という説にはやはり考えさせられる。
この手の問題には、それが自分の問題なのか向こうの問題なのか、という論点がいつの時代にもあって、結果として聴き手である自分の感性が鈍っているだけ、という自虐に落とし込まれることが多いが、やはりそれも疑問で。
番組中にも言っていたように、もし自分がいまの若者だったら、果たしていまの音楽に夢中になるのだろうか、というレベルまで想像する必要がある。
もちろんそれとて、いまの自分から発した考えである以上、完全に想像することは不可能であるわけだが、たしかに自分がいまの若者であったなら、これほど音楽を聴いていなかったかもしれない、と思うことはある。
歳を重ねていく中で、すでに感受性のアンテナを畳んでしまっている人は論外だが、それを立て続けている人がいまの音楽をどう感じているのかという話は、もっと広く議論される必要があるのかもしれない。
といってもその場合、いまの音楽をちょっとでも否定するとただちに老害扱いされるから、皆あまり本音は言えないのだろうけれど。