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空気階段第4回単独ライブ『anna』

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この二時間強の長篇を見事にやりきったことで、空気階段の評価は各段に上がるだろう。

全体を通した連作短篇的な伏線の回収など、構成の巧みさは確かに褒めやすい要素だが、そこは構造に理解のある作り手ならばできてしまう部分なので、改めて絶賛する必要があるとは思わない。

だが本当に凄いのは、そうやってスタイリッシュにまとめ上げる道が目の前に見えていながらも、その整った構成を崩しかねないほど強度のあるフィクションを容赦なく放り込んでいるところだ。そこにこそ彼らの芸人としてのサガというか、根源的なパワーを感じる。

SF的な設定も破天荒なキャラクターもくだらない下ネタも、それら突拍子もない要素を手加減なく貪欲に取り込んだ結果として、彼ら独自の世界観がいびつに完成している。けっして全体の感動のために部分的な笑いが犠牲になることはなく、個々の笑いを地道に積み重ねた結果としてラストの感動がある。

見終えた感想は後半の叙情性に引っ張られがちであるとは思うが、個人的にはその根底が相当に攻め込んだ笑いによって支えられていることに、新世代コント師としての頼もしさを感じる。

上手さに逃げず小さくまとまることなく、このまま己の道を突き進んでくれることを祈る。