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『さまぁ~ずライブ9』

二人の鋭敏な言語感覚はもちろん、相変わらず場面設定が魅力的。特にラストの「虹太郎遊技場」のような、「ルールのよくわからない場所」はまさに大竹ワールド。そこは因果律の狂った世界。当たり前のことが当たり前でなく、説明すべきところに説明はなく、無駄に思われることを何度も繰り返しやらされる不条理な場所。

だが実のところ世の中というのは本来そういうもので、だからこそ無理矢理共通のルールを作ってなんとか回しているだけのこと。そんな世間の本質をついつい暴いてしまうその手つきは、『さまぁ~ず×さまぁ~ず』で理不尽なカフェ店員への不満をぶちまけるときの大竹の「気づきすぎてしまう」鋭敏な感覚がベースになっている。

本作では、『さまぁ~ずライブ7』あたりで感じた若干の失速感もほぼ払拭。歌ネタはマイナスターズ全盛期に比べると大人しく感じてしまうが、幕間の小ネタまで凝った作りはやはり流石。適度なアドリブ感が生み出す先行き不透明なスリルもベテランならではの味を感じさせる段階へと突入し、三村の絶妙なポンコツ感はむしろ今後の伸びしろを感じさせる。一見シャープでもソリッドでもないのに密度と精度が異様に高い、というさまぁ~ずの魔力を改めて感じる一作。