テレビドラマ評
今季のドラマで今もなお観ているのは、『銭の戦争』『○○妻』『流星ワゴン』の3本。中でも最も楽しみにしているのが、『銭の戦争』。 何よりもまず、相変わらず渡部篤郎の演技が素晴らしい。多くの俳優が目標としている「クール&ユーモラス」な松田優作路線…
黒田官兵衛という男は、運良く華々しい戦国期のピークを生きた。信長・秀吉・家康という実質的な天下人三名と関わりを持った戦国武将は、あまり多くない。官兵衛は三つの時代を生きた。 と、後世に生きる我々から見ればそう見えるが、自分に置き換えて考えて…
テレビドラマの個性というのは、コメディとシリアスの配合比率によって決定される。 と言ったら明らかに言いすぎだが、視聴者それぞれに好みの配合比率があり、近ごろは作り手の側でもベストな比率をあれこれ模索している感が強い。昔のドラマはそれが自然な…
しょっぱなから圧倒的な情念を感じるドラマである。渦巻いている、という言葉がこれほどふさわしいドラマは久しぶりかもしれない。どこもかしこも葛藤まみれの構図。それは言い替えれば古典的であるとも正統派であるとも言える。 そもそもが1966年に放送され…
初回2時間SPは、今どきのドラマにしてはさほど過剰な演出もなく、現実と非現実の狭間をピンポイントで突いた宮部みゆきの原作力を感じさせる充実した内容。 ただしメインとなる事件がバスジャックということで、当然だが中盤からバス内部のシーンが延々と続…
原作/天童荒太、脚本/大石静。 とにかく主演の松雪泰子が怖い。出演者全員が怖い。いや伊藤淳史だけが救いとして用意されており、通気孔のような働きをしている。 脚本も演出も、とにかく怖がらせる方向へと迷いなく徹底されている。明るい出来事があった…
とにかく何もかもが重厚なドラマで、「映画の基準をテレビドラマに持ち込んでやる」というスタッフの気概を感じるドラマだった。重量感のある演出、容赦ないアクション、脇役陣の怪演、作り込まれたシナリオなど、あらゆる面で他のテレビドラマとは一線を画…
ドラマには、見せたほうがいい部分と見せないほうがいい部分がある。当然だが物語というのは、「描かれる部分」と「描かれない部分」によってできている。そこには「描かれない部分」というのが少なからずあり、「何を描くか」というのはつまり「何を描かな…
毎話、上下左右に間断なく心を揺さぶられつつ観た。リメイクというハードルを、ひねりを加えた跳躍で見事斜め上に飛び越えて見せた傑作。 テレビドラマに限らず、エンターテインメント作品には大きく分けて二種類の系統がある。ひとつは、受け手がすでに持っ…